媚薬だと思って飲んだものが媚薬じゃなかった、のひよあん「ね、あんずちゃん。これなんだと思う?」
ちゅる、と唇を舐められて、ようやく深くて長いキスが終わると。ふかふかの枕に頭をあずけながらぼんやりと目を開ければ、日和が楽しそうにあんずを見下ろしていた。小さな瓶を揺らしながら。
ぱちぱちとまばたきを繰り返して涙をはらい、その小瓶に貼られたラベルを見る。何が書いてあるのかと目を凝らしてみるけれど、どうやら日本語ではない言語で書かれていて、あんずにはよく分からなかった。
「ええと、分かんないです。なんですか?」
「んもう、少しは考えて欲しいね! でもまぁ、あんずちゃんに分かるわけないか」
日和は腰に手を当てながら、ふふん、と得意気に口角を上げた。分からないのは事実だけれど、それなら初めから聞かないで欲しい。あんずは、む、と眉間にしわを寄せて日和を睨んだ。けれど特に効果はなく、そんな顔しないの、なんて言われながら人差し指で眉間をつつかれた。
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