初めの世界ではお腹を刺されて死んだ。次の世界で彼は義を通して死刑囚となった。その次の世界では愛した人を亡くし、独りを選んだ未来だった。俺のわがままで戻った世界では、俺に命を返すと言って撃たれて死んだ。
過去の世界で彼が死んでもう2度と返らないと知った時、俺は初めて自分の気持ちに気づいた。ヒナには2回目の土下座で謝って別れを告げることにした。泣きながらビンタされた後でもヒナは友人として俺を支えてくれた。がむしゃらになってマイキーくんをぶん殴って地に膝をつかせた時、脳裏によぎったのは死に際の彼の姿だった。彼が、ドラケンくんが望んだ未来をようやく掴むことができた。彼に託されたマイキーくんを光に引っ張り上げることができた。思い残すことはない……はずだった。
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