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    aka_dori

    @aka_dori

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    aka_dori

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    記憶喪失ヒスたんのケイヒス。
    記憶消えてるからキャラ崩壊もしてる。
    なんでも許せる人だけ見て💕
    Sideケ様がないとわけわからんからそのうち書く。

    #腐ラスタ
    rotatorCuffStar
    #ケイヒス
    silicosis

    記憶喪失ヒスとそれを騙して兄弟を演じるケ様オレはお兄ちゃんと一緒に暮らしている。
    お兄ちゃんの髪はふわふわの金髪で、オレの髪は
    ちょっとだけゴワっとした緑色。
    お兄ちゃんの目は空みたいな明るい青なのに、
    オレの目は深い紫色。
    全然似てなくて、夜になって一人になると、
    本当に兄弟なのかどうか凄く不安になってしまう。
    だから、何でオレ達は似てないの、と聞いてみたら
    お兄ちゃんは髪を染めているから違う色なんだって教えてくれた。
    じゃあ、目は何で違う色なの、って続けて聞いてみたら
    お兄ちゃんは苦しそうに眉を寄せてオレのことを抱き締めた。



    お兄ちゃんは夜に営業しているお店で働いている。
    お兄ちゃんのことは何でも知りたいから、どんなお店なのって、聞いてみたら
    お店の名前は教えてくれなかったけれど
    料理を出すだけのレストランではなく、
    演劇もやっているお店だって教えてくれた。
    オレには絶対に来ちゃダメだって言うけれど、
    かっこよくて優しいお兄ちゃんのことだから、お店でもきっと人気者なんだと
    思う。たくさんの人の中心にいるお兄ちゃんは簡単に想像できる。
    けど、あんまり人気すぎると、オレのお兄ちゃんなのに、って嫌な気持ちになって
    しまいそうだから、オレはお店に行かなくていいや、って言ったら
    「―――はずっとここにいればいい」とおでこにキスをされた。
    柔らかい唇の感触がくすぐったくて、お返しにキスをするとお兄ちゃんは寂しい顔をしたから、オレからはキスをしない方がいいのかもしれない。




    お兄ちゃんはお仕事で一日中にいない時もあるし、
    夜だけいない時もある。お兄ちゃんがいないと家の中は静かで寂しい。
    オレはスマホを持っていないし、ラジオとかテレビとか音の出るものもは
    何一つないから本当に静か。退屈で堪らないけど、それを埋めるためにお兄ちゃんの
    持っている本を読んでいいよ、って言われている。
    ちなみに、昨日は『走れメロス』を読んだ。
    オレは体が弱くて家から出ちゃいけないから、メロスみたいにいっぱい走れたらな、
    とか思って読んでいるとすぐに読み終わってしまった。
    読んでいる間は物語に夢中だから寂しくはないけれど、
    読み終わると、お兄ちゃんがいなくて心細い気持ちでいっぱいになってしまって
    胸がギュッとなる。毎日同じことの繰り返しだけど、
    それでも慣れることができなくて、オレはすぐにベッドに潜り込んだ。
    ベッドに入る前はお薬を飲む様に言われているから、飲むけれど
    そうするとオレは朝まで目を覚ますことができない。
    だからお兄ちゃんが帰って来たときに「おかえりなさい」と言ってあげられない。
    だから、今日は長いお話を読んでお兄ちゃんのことを待っていよう。
    『カラマーゾフの兄弟』この本は上中下巻に分かれていてかなり長い。
    これなら、お兄ちゃんを起きて待っていられそうだ。
    書斎から上巻を持ち出して、リビングに行く。
    ソファに座って、表紙を捲る。
    そしたら、オレは物語の世界に一直線。
    のはずだったんだけど……

    「毒蛇……?」

    本の隙間からメモ用紙が一枚落ちてきた。
    それは紛れもないオレの字で埋め尽くされていて、
    けれども少しも書いた覚えがなくて、
    それでも手に取るように分かる怒りの気持ちが
    いっぱい溢れていて、何がどうなっているか分からなくなってしまった。

    「これ、なんなの……? オレが、これを書いた、の?」

    オレはずっとお兄ちゃんと一緒に生きてきて、
    いっぱい怒ったことなんて一回もないのに、
    どうして、この紙に書いてあることは全部理解できるの?
    それに、自分のじゃない字でメモのすみっこに
    “ヒースの曲楽しみにしてるからな“
    って書いてるけどヒースって誰なの?

    本を読みたいだけだったのに、
    いっぱい怖いことがやってきて、
    早く寝ちゃおう、と思うのに寝たらもっと怖いことが起きそうな気がして
    部屋からタオルケットを持ってきてリビングのソファで丸くなって
    お兄ちゃんを待つことにした。
    テーブルの上に置いた本とメモがお化けみたいに
    思えるからギュッと目を閉じたけど、薬を飲んでいないから少しも眠ることはできなかった。

    「帰ったぞ。どうして、リビングで寝ている?」
    「お兄ちゃん……これ、なに?」

    いつの間にか眠っていたらしいオレを抱き起こしたお兄ちゃんは
    少し呆れた顔をしていた。きっと、眠るときはベッドじゃないとダメだって言ってるのにソファで寝ちゃったから、ダメな弟だと思っちゃったんだろう。
    お兄ちゃんに嫌われたら辛くって生きていけないから、
    なんとか賢い弟だよ、って伝えたかったけど、
    それより、今日見つけた恐ろしいメモの正体が知りたくて
    コートを着たままのお兄ちゃんに抱きついてメモを指差した。

    「それは……」

    一瞬、お兄ちゃんの言葉が止まる。
    やっぱり、何か怖いものなのかな?
    ドキドキしながら続きを待ったけど、
    その後は特になにもなかった。ただ、暖かい大きな手が
    頭をぽんぽん、と撫でてくれた。

    「――が気にするものではない。
    早く、薬を飲んで眠って……忘れろ」
    「え……?」

    オレはまだ寝たくない!
    お兄ちゃんと一緒に起きて、このモヤモヤした
    気持ちを晴らしたいの!
    そう言おうと口を開いたら、お兄ちゃんにソファに押さえつけられて
    無理やり錠剤を飲まされた。苦い三粒の薬を吐き出そうと抗ってみたけど、
    口と鼻を抑えられて、すぐに息が苦しくなった。
    そこから、オレは覚えていない。
    次に目が覚めたときはもうお昼で、
    オレはオレの部屋で首輪をつけられていた。



    「お兄ちゃん?」

    自分の部屋の中を移動できるギリギリの長さの鎖が
    首輪から伸びていて、その先はベッドに繋がっている。
    どうしてこんなことするの?
    お兄ちゃんはオレから自由を取っちゃうの?
    悲しくなって、オレが起きるまで待っててくれたらしい
    お兄ちゃんを睨んでみた。始めてこんなことをするから上手くできているか分から分からないけど、そうしないと気が済まなかった。

    「昨日は怖い思いをさせて、すまなかった」

    けど、お兄ちゃんはいつも通りだった。
    椅子から立ち上がるとすぐにオレをギュッとしてくれて、泣きそうな声で謝ってくれた。
    昨日の何に対して謝っているのか分からなかったけど、
    お兄ちゃんも辛いのなら、オレはお兄ちゃんの考えに従って少しでも負担がないようにしてあげようと、首輪も鎖も受け入れることにした。

    「オレはお兄ちゃんがいれば何も怖くないよ」



    あれから数日、お仕事のとき以外、お兄ちゃんはずっとオレの部屋で過ごすようになった。
    ずっと一緒は嬉しいけど、なんだか照れてくすぐったくなる。

    「お兄ちゃん、こっち、来て?」

    ちょっと離れたところでパソコンを触っていたお兄ちゃんを呼び寄せる。お兄ちゃんはすぐにやってきてくれるから、やっぱり、優しい。

    「お兄ちゃん、大好き!」

    思い切り抱き付くと、鎖がジャラジャラとうるさく鳴ったけど、関係ない。無音より寂しくなくてずっといい。

    「お兄ちゃんも……――が、大好きだ。愛している」

    お兄ちゃんは時々すごく大袈裟だ。

    「愛してる、 なんておおげさ」

    あの時みたいにほっぺたにキスをする。
    好きだって気持ちをいっぱい伝えようとやってみたんだけど、やっぱりお兄ちゃんは辛そうな顔をするから、オレからはキスをしないほうがいいらしい。
    ちょっと悲しくなって、抱き付いていた体を離すと、
    天邪鬼なのかな? オレをベッドに押し倒して、散々オレの体に触れてきた。

    「どうか、俺を恨まないでくれ……!」
    「恨まないよ。大好きだから」

    本当のことを言っただけなのに、
    今日のお兄ちゃんは変なお兄ちゃんだ、涙をポロポロ流しながらずっと、「許して」と呟いていた。

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