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    ROM

    @94_ROM_12
    稲妻の目金君関連のみ

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    学生萌目。一年生5月頃。

    ##学生萌目

    図書館新入生を迎え入れる為のイベントが粗方終わりを見せた5月中頃。学校内での生活サイクルが各々定まり出したこの時期に学生の本分を思い出させるかの様に一度目の中間テストが訪れる。多くの生徒にとってテストは憂鬱で気が滅入るイベントであるが、常日頃予習復習を欠かさず行い、授業の内容を完璧に理解している生徒にとっては、テストなど日々の学習度合いを再確認する為の品物に過ぎなかった。

    「……ねえ、目金君。まだ帰らないの」
    「ええ。折角のテスト期間です。部活が本格的に始まる前の今こそ、この潤沢な書物を読み漁る絶好の機会なので!」

    最終授業を終えてから早2時間。日々の予習復習は欠かさず行うテストなど余裕綽々な生徒の一人である目金君は『この絶好の機会を逃すわけにはいきません!』と意気込んだ後、図書館に設けられた読書スペースに座り込んで机の上に積み上げた本をとんでもないスピードで読破し続けている。一心不乱に本を読み漁る目金君の楽しげな横顔を萌はテストの復習をする訳でもなくただぼんやりと眺めていた。

    「早く帰って範囲の見直しをした方がいいよ」
    「分かっていますよ。ですが今の範囲は粗方理解しているので毎晩の復習とテスト直前の土日にしっかり見返せば十分です。記憶力にも自信はありますしね」
    「それは、そうなんだろうけど……」

    事実、この時期の授業は難易度が低い物が多く、日々の学習を怠っていなければ短時間の見直しで十分点数が取れる物ばかりだろう。それに加え、目金君は暗記の能力がずば抜けて優れている。暗記するしか勉強法がない類のテストも彼ならきっと易々攻略出来るに違いない。

    「漫画君も一々僕に付き合っていないで帰って頂いて結構ですよ。僕は図書館が閉じる時間まで居座るつもりですので」

    彼なりに気を使ってくれているのか、目金君は本から目を離す事なく萌に先に帰る様促す。

    「……そう言うことじゃなくてさ」

    テストが終われば、彼の言う通り本格的に部活動が始まる。そうなると今までみたいに二人きりでのんびりとした放課後を過ごす機会は格段に減るだろう。

    (二人で一緒に勉強とかしたかったんだけどな)

    そんな思いが本に夢中になっている目金君に伝わるわけもなく、萌は自身でも嫌になるようなイジイジとした声でポツリと呟く。

    「?何かあるんです、か。」

    ずっと本から目を離さなかった目金君が不思議そうに顔を上げ、目があったかと思えばピタリとその動きを止める。

    「……?目金君?」
    「……。気が変わりました、帰りましょう」
    「へ?え、いいの?」
    「ええ。構いません。何も今本に固執せずともいつでも読む機会はありますしね」

    一体この数十秒で彼に何の変化があったのか、目金君は荷物を手早く片付け始める。その突然の切り替えについて行けず、読み終えた本を返却していくその背中を萌はただぼんやりと眺める。

    「さ、帰りましょう漫画君」
    「え、ちょっと。待ってよ目金君!」

    あっという間に片付けを終え、鞄を手にし立ち上がった目金君に置いて行かれまいと萌は慌てて鞄の中に物を直し立ち上がる。
    テスト勉強の為に皆早々と帰っているのか人気が少ない校舎を二人歩いていく。何となく互いに無言の時間が続き、図書館を後にし正門へと歩く道すがら、萌は心中の違和感を無視し切れず恐る恐る目金君に尋ねる。

    「ねえ目金君。何で急に帰ろうって言いだしたんだい?いや僕は凄く嬉しいけど、君の読書の邪魔をしてしまったのも事実だし……」
    「聞いても怒りませんか?」
    「えっ?う、うん。多分怒らない」

    目金君は此方の目をじっと見つめそう尋ねる。目金君らしからぬ相手を伺うような言葉に驚きつつも続きを促す。

    「……一斗に」
    「うん?」
    「一斗に、似ていたんです。図書館に居た君の顔が」
    「えっと……どういうことかな?」

    返答の意図が掴めなかった萌からの問いかけに対し、目金君はニンマリと笑い答えを告げる。

    「お兄ちゃんに構ってもらえなくて寂しいって顔ですよ」
    「………………」

    (いや、それって。僕は一体どれだけ情けない顔をしていたんだ)

    ハクハクと、羞恥で物を言えなくなってしまった萌の顔を覗き込んで、目金君は感心したように呟く。

    「おや、綺麗に赤く染まるものですね」
    「目金君!」
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    REHABILI「嘘はまことになりえるか」https://poipiku.com/4531595/9469370.htmlの萌目の2/22ネタです。22日から二日経ちましたが勿体無い精神で上げました
    猫の日「……えっと、つまり。漫画君は猫耳姿の僕を見たいのですか?」
    「今日は2月22日だろう?猫の日に因んだイベント事をこう言う形で楽しむのも、恋人がいるものならではの体験だと思うよ」

    2/22。2という数字を猫の鳴き声と準えて猫の日と呼ばれているこの日。そのイベントに乗じてインターネット上では猫をモチーフとしたキャラクターや猫耳姿のキャラクターが描かれたイラストが数多く投稿されている。そして、猫耳を付けた自撮り写真が数多く投稿され、接客系のサービス業に勤めている女性達が猫耳姿になるのもこの日ならではの光景だろう。
    古のオタクを自負する萌にとって、猫耳とは萌えの象徴であり、身に付けたものの可愛さを最大限までに引き出すチートアイテムである。そんな最強の装備である猫耳を恋人にも身につけて欲しいと考えるのは自然な流れの筈だ。けれど、あくまでそれは普通の恋人同士ならの話。萌と目金の間に結ばれたこの関係は、あくまで友として萌と恋人のごっこ遊びに興じる目金と、目金に恋慕する萌という酷く歪な物であった。
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