メイドの日- 5/10 -

「メイドの日だよ目金君」
「絶対に着ませんからね？」
「待ってもう少し話を聞いて」
「以前から言ってはいますが、僕はコスプレの類をするつもりはありませんので」
「大丈夫、分かっているさ。コスプレも猫耳も断られ続けているんだから、流石に僕だって学んでいるよ。僕が言いたいのはそういう話じゃなくてね」
「？」
「＿＿ヴィクトリアン、クラシカル、ミニスカ、フレンチ。この中でどれが一番僕に似合うと思う？」
「馬鹿なのですか？」
「仕方が無いじゃないか！目金君が着てくれないんだから！」
「僕のせいにしないで下さいよ」
「目金君が着てくれないのなら僕が着るしかない。どうせ着るのなら僕に一番似合うスタイルを選びたい。ほら、理屈は通っているだろう？」
「通っているとは思いますが変だとは思いますよ」
「ええ、そうかなあ？」
「第一、この後セ……ね、寝るだけなのにそんな格好する必要ありますか？」
「あるよ！！！」
「うわ、うるさっ」
「コスプレって言うのは恋人達の一夜に普段と異なる彩りを与えてくれるプレイだと僕は思うんだ。いつもと違う関係性の僕らになって、ロールプレイを楽しみながら行為に勤しむ。それがコスプレならではの醍醐味何だよ！」
「萌先生って本当にコスプレがお好きですよね」
「話は戻すけど、目金君はどの服を着た僕が見たい？」
「……クラシカル、ですかね」
「クラシカルね。目金君らしいチョイスだと思うけど理由は？」
「似合うかどうかだけなら、フレンチが一番萌先生の雰囲気にあっていると思います。ですが」
「ですが？」
「……。その、この中で一番優しくリードしてくれそうな印象があるのが、クラシカル、だったので……」
「……」
「……」
「……目金君。確か君明日も明後日も予定は入って無いって言ってたよね」
「ぅえ？ええ、はい」
「今日はこのまま寝てさ。明日丸一日メイドさんとご主人様のコンセプトで過ごさない？」
「はい？！」
「正直今回はメイドの日に託けて目金君好みの姿で女装攻めする位しかプランを立ててなかったんだけど、君のその反応を見たら一夜限りで終わらせちゃうのは勿体無い気がして」
「何ですか勿体無いって……」
「だからさ、今夜じっくりとイメトレするから明日まで待ってくれないかな？」
「別に僕は構いませんが……、えっと、今日はしないのですか？」
「……。ううん、する。絶対にする。けど明日もきっとするだろうから一回だけしようね」
「ん、そうですか」
「あっ、その顔可愛い写真撮っていい？」
「絶対に駄目です」