仕事の事でも教団の事でもその他諸々でも、考えることが多くなってきたときディルックはエンジェルズシェアのカウンターに立つようにしていた。
酒を飲むことは好きではないが、酒同士の相性、量を考えカクテルを作るのは良い気分転換となったからだ。
この日もその気分転換のために開店前の店へと入ると、店を任せているチャールズは何本かの瓶をカウンターに並べて難しい顔をしていた。
「何かあったのか?」
「あぁ、ディルック様。そのですね……」
事前に訪れることは連絡してあったためオーナーの姿に別段驚くことはなかったが、チャールズは何やら言葉を濁し目の前の瓶のうちの一本を指さした。
「新作リキュールを何本か仕入れたのですが、そのうちの一本がですね……」
1357