「こんな所で何をしているんだ、冒険者」
「ひえっ!」
オルシュファンの執務机を覗く冒険者の背後から、コランティオが声を掛けてきた。
「なんだ、コランティオか……びっくりしたぁ」
「お前が背後の気配に気づかないなんて、珍しいな。オルシュファン様に用事でも?」
「う、うん……大したことじゃ無いんだけど」
冒険者は苦々しい笑顔を浮かべながら、その手に持っていた、小さな赤い包みを背中にさっと隠した。しかしコランティオの目にはしっかりと映っていたらしい。成る程、と言葉に出しながら、コランティオは納得の表情を浮かべた。
「君もオルシュファン様にチョコを渡しにきたクチか」
「うっ。そのつもりだったんだけど、あれを見たら怖気付いちゃって……はは」
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