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    GOMI7188

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    #Sonnyban
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    snbn① sonny side*


    「...はぁ。早く帰ってさっさと寝たい」


    ───ワイワイ、ガヤガヤ。

    この家に顔を出すときはいつだって賑やかだ。
    しかし今日は一段と耳を塞ぎたくなるほど盛大に盛り上がっていて、バルコニーへ抜け出して夜風に当たっていても、ピリついた気持ちが収まることはなかった。

    「よぉ、おまわりさん」

    おちゃらけたあだ名でたまにそう呼んでくる男は一人しかいない。

    「ファルガー...と、浮奇。」

    目の前の男の背後からひょっこりと現れ、妖艶でいてどこか掴みどころのないもう一人の男は、自分と目が合うとにっこりと微笑んでみせた。


    「How's it going つれない人」


    二人は何か自分に用があるような顔をしており、
    いかにも俺たち〝デキてます〟という雰囲気を隠しもせずシャンパングラスを片手に、もう片方の手で
    互いを拘束するかのように手を握り合っていた。


    「...何の用?」

    「ふふっ、本当につれない人だね。僕のbarにも全然来てくれないし?」


    中世的な顔立ちをしている浮奇が、眉毛をへの字にしてみせて芝居じみた悲しい顔で言い寄ってきた。


    「浮奇。こいつがつれないのはいつもの事だろ? このホームパーティーを開いてくれたルクシムのメンバーには、少なからず懐いてるみたいだがな」

    「...ファルガ―。用がないなら一人で夜風に当たってたいんだけど?」

    あからさまにため息を深くつき悪態をつくと、男は『参った』と両手を挙げて降参のポーズを取って見せる。

    「いやなに。紹介したい猫がいるんだ。」

    「猫?」

    何やら含みのある言い方で、「アルバーン、こっちだ」と、バルコニーに漏れ光る窓の隙間に手をついて、カーテンの奥にいるのであろう『猫』に向かって声を掛けた。

    フォルガーの言いつけ通り、そっと横脇からか影が出てくるのが見えた。

    「...ファルガー。僕は猫じゃないって言ってるでしょ」

    出てきたと同時に、頭をぐしゃっと撫でられている
    『猫』をじっと見つめると、俺の存在に気づき、一瞬動きが止まったように見えたが、ぴゃ、っと男二人の背中にそそくさと隠れてしまった。


    「この野良猫ね、僕のbarで盗みを働こうとしてて、ふーちゃんに退治してもらってね。まぁ色々あって、帰る場所もないみたいだから僕たちの愛の巣に居候させてるんだよね。」

    「...盗み」

    その言葉を聞いて、現役警官である自分が反応しないはずがなかった。
    いわゆる孤児(?)が、浮奇が切り盛りしている店で窃盗事件を起こそうとしていたわけなのだから。


    「そ。まぁ未遂だけど僕とふーちゃんにこっぴどく説教されて、そろそろ潮時とも思ってたみたいだから、盗人から足を洗うなら許してあげるし衣食住を提供してあげるって提案したら、あっさり了承したってわけ。」

    ───そもそも、どう考えても人間である目の前の青年が何故『猫』呼ばわりされているのか...理由はすぐに理解した。

    その猫は、ふんわりとした甘い栗色の猫っ毛に、今にも零れてしまいそうなほど大きなオッドアイの瞳をしていた。

    「こ、こんばんは。」

    「...」

    彼らの背中からひょっこりと顔だけを出して、俺の視線と絡まる。
    不安そうにこちらを見つめてくる姿は、まるで人見知りな猫そのもののようで、不思議な感覚だった。

    加えて、何故か胸の奥がざわついた...気がした。

    「おい、挨拶くらいはしてやれ?」

    少し間をおいて言ってきたファルガーの声ではっとなり、面倒ではあるが、自分でも自覚のある不愛想な顔は変えずに、重たい口を開いた。

    「サニー・ブリスコー。よろしく...と言いたいところだけどファルガー、浮奇に聞きたい。俺に補導してほしいとか、そういうあれ?」

    「いいや。盗み以外の真っ当な世界をあまりにも知らなすぎるんだよ、こいつ。だからまぁ、友人一号になってやってくれっていう、提案。」

    「...はぁ? そんな義理ないだろ」

    「まぁまぁ。僕たちの仲でしょ?」

    「冗談」

    二人と何か特別な関係性を築いた覚えはなく、この場に留まる理由もなくなったため、まだお開きにはなりそうにない賑やかな室内へ戻ることにした。



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