臆病と悪魔【臆病と悪魔】
笑ってください、こんな私を。お赦しください、どうか。
悪魔の居城で祈っていると、まるで自分が幽閉されたか、あるいは堕天してしまったかのような錯覚に陥る。いいえ、身も心も、決してそのようなことは。けれど、何故なのでしょうか。此処は幾分、居心地の良い場所なのです。それ故に、必要以上にこの地に滞在してしまっているのも確かで。地獄が心地良いなんて、本当に可笑しな話。
フロン様、貴女が私に明かしてくださった、魔界で過ごした日々のこと。今も忘れられないのです。お話しされた時の、貴女の優しい表情。「アルティナちゃん。すぐに天界に戻る必要はありませんからね。貴女が為すべきことを、為してから戻って来るように。いいですね?」そう、笑顔で送り出してくれたその意味も、もう少しで分かるような気がするのです。
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