「ん、…ふっ…………んぅ…っぁあ!」
枕に顔をうずめて必死に声を抑えようとするコイツを見ていると、いじめてやりたいという気持ちが無意識のうちに湧き上がってくる。
「おい、声抑えんな」
そして、これまた無意識のうちに右手が枕を奪いあげた。
縋るものを無くした甲斐は両手で口を塞ごうとしたが、それも叶わずシーツに押さえつけられてしまう。
コイツのことを大切にしたいと思っているハズなのに、抑えがきかないんだ。
「や、やぁ……やぇ、て、むこォに、金田たち、いっ…、からぁあ……、はぁ、んぁああ!!」
たしかにこの薄い壁1枚隔てた先には金田たちの部屋がある。こんなコトをしていたら確実に聞こえてしまうのは避けられないが、今この瞬間に眼下の愛しい存在が『金田たち』と漏らすのを聞いて、コイツはまだ他を気にする余裕があるのかと、自分でも抑えきれない強い衝動をともなう感情が湧き上がる。
2041