ロナ生誕祭2022電気もつけずに事務所のソファーへ倒れ込むように横たわった。退治の仕事を終えたばかりで衣装も汚れている。こんなところで横になっていないで早くシャワーを浴びて、明日に備えるのが正しい。そうわかっているのに、躰は鉛のように重たくて起き上がれなかった。
(…………足りない、)
頭の中でずっと怒鳴り声が聞こえる。立ち止まるな。何をしている。未熟者。実力不足な奴。努力が足りない。使えない奴。もっと走れ。もっともっと役に立て。もっともっともっと――、何もかもお前は足りていない。
(……わかってる)
足りないものが、あまりにも多すぎた。そんなことはいつだって自覚していた。むしろ自分は持っている物の方が少ないのだから。空っぽな胸はいつだって自分を睨むように見ていた。
4589