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    置き場

    すべて妄想です/年齢制限付きは自己責任にてお願い致します。

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    自分用メモ
    人間KK×🦊暁人くん
    今はKK←←←←←🦊
    神や妖怪などの知識があまり無いため
    誤った知識が含まれております
    申し訳ありません

    #K

    最後は雨の中傘をさして歩きましょう「番になって欲しいんです」

    重力を無視した速度で、ゆっくり俺に向かって歩いてくる男
    エーテル結晶の光を抜け、足音もなく近付く

    「番だぁ?」
    「はい、僕と番になってくれませんか?」

    勾玉で拵えた飾りと、巫女のような姿
    身体を覆うように毛皮のようなものを羽織っている
    ただの下級妖怪などではない風貌だ

    「話が見えねぇな」
    「あ、あの、この近くに社があって
     そこの主をしている狐なんですが…」

    確かに社はある
    あるが、とうの昔に管理していた奴が死んで
    誰も手を付けないまま放置された朽ちた社だ
    確かに狐の置物があった

    「で、そんなお狐様がなんで俺なんかと番だなんだ言ってんだ?」
    「ずっと、見てたんです」

    整った顔が綻ぶ
    吊り目な瞳が幾分垂れて、俺を見つめる
    まるで恋焦がれるような顔で

    「貴方が、社にきてくれた日からずっと
     悪さをする輩を払い、僕を草むらから拾い上げてくれた」

    確かに、社付近で悪い噂が立った頃
    原因調査で社周りを掃除した事があった
    寂しげに草むらに倒れた狐の石像も掬い上げ
    元の位置にも戻してやった
    コイツはそれに感謝して来たようだ
    鶴のなんとやらか

    「当たり前の事をしただけだ。別にお狐様に感謝される筋合いもねぇよ。
     たまに綺麗にはしてやるからよ、帰んな」
    「!、か、帰りません!僕と、番になって欲しいんです…!」
    「頭沸いてんのか?俺は確かにこんな力を持ってるが一応は人間だ。妖怪は妖怪、神様は神様同士でやりあってくれ」

    じゃあな、と
    狐のいる方向とは別に足を向け歩き出す
    祟られたらまぁ、なんとかなるだろと
    それより帰ってから提出する調査内容を脳内でまとめようとした時
    目の前にまた狐が現れた

    「勘弁してくれよ」
    「僕だけじゃだめなんです…」
    「あぁ?」
    「あの社を、守り切れない、あの社が本当に朽ちたら…」

    たかが人間ひとり、相手からすりゃあゴミみたいなもんに
    縋るように、願うように手を差し伸べる

    「朽ちたらどうなんだよ」
    「あの付近は昔、大蛇の縄張りでした
     僕の前の代が人々より願いを受け、封印をしてたんですけど
     昔は神と崇め、奉っていただけたから
     力も衰えず、安定した日々を過ごしていたのですが…」

    ふと、話が巡り繋がる感覚がした
    社のまわりの不可解な事件が多発し、大勢のマレビトが現れ始めている今
    コイツが言っていることは正しいのかもしれない

    「なるほど、人々からの信仰もなくなり
     社は力を失いつつあるから
     その大昔の大蛇が目覚め始めてると」
    「は、はい、その通りです!」 
    「本筋は理解したが、番は何だ?番が必要な理由が見えない。」
    「あ、その…貴方の力が…」

    またもや合致した
    簡単にいやぁ俺を取り込んで力が欲しいんだろ
    狐らしい、回りくどいやり方だ

    「取って食っちまいたい、って事か?」
    「えぇ⁇‼︎」
    「めんどくせぇ言い回しはいいんだよ。わりぃが、神様だかなんだか知らねぇが命まではやれない
     他当たってくれ」

    悪い奴ではなさそうだが、感覚は人間とは違う
    無理なものは無理と言わないとつけ込まれる
    目を見で拒否を貫く
    アイツは怯えたように両手を握りしめる

    「た、たべません…いのちも…とらないです、ただ」
    「ただ?」
    「あ、う、…す、好きになってしまって…」

    は?

    「貴方のこの結晶を纏う姿、矢のように光を撃ち抜く力、表には出さない優しさ、全部見てました、
     見て、感じて、貴方を愛してしまったんです!」

    キィン…と耳鳴りのようなものがした気がした
    さっきまでの大蛇のくだりか抜け落ちそうになりながらなんとか言葉を理解しようと脳をフル稼働させた
    好きだ?恋だ??なんだ???

    「大蛇の事は本当です!最初は力を貸していただくだけとお願いしようとしていたのですが、それだけでは…その…」

    狐のでかい尻尾がゆらゆらと左右に揺れる
    色白い肌を赤らめ、チラチラと俺を伺う

    「つ、番になれば、貴方にも僕の力がつかえるようになりますし、僕も貴方のお仕事をお手伝いでします!り、料理も洗濯も任せてください!お味噌も毎日作ります!」
    「なんだなんだ訳がわからなくなって来たぞ」

    畳みかけるように言葉を浴びせてきて
    俺はキャパオーバーになりかけ頭を抱える
    途中から人間味を帯びた、しかし古臭いプロポーズ的な事を言われた気がしたが脳が拒否した
    そんな俺の姿を見て、あっちも混乱したのか頭が吹っ飛んだのかわからないが
    俺の手を取り元気に言った

    「僕、暁人っていいまモゴっ!」
    「だ、馬鹿ッ‼︎」

    どこの世界に自分の名前を人間に教える神様がいるか!
    口を押さえて頭を叩く

    「って!」
    「他に聞かれたらどうする!利用されるぞ!」
    「だ、大丈夫だよ、結界つけて僕と貴方しかいないから」

    しっかり囲われていたようだ
    怖いなお狐様、最初から逃す気がなかったようだ

    「…お前、オレがヤベェ奴だったらどうすんだよ
     今死んでたかもしれないんだぜ?」
    「貴方はひどい人じゃない、今僕がここにいる事が証明だ」

    掴まれた手を力強くにぎるお狐様もとい暁人
    ずいぶんとふざけた表情してやがる

    「僕の本気、わかっていただけました?」
    「まぁな、名前を言うような神様は初めてだ」
    「へへっ…初めて…」
    「馬鹿だって事だよ、馬鹿」

    デコピンをかましてやったら
    よくわからん声をあげて手を離した

    「馬鹿じゃないです、暁人です…」
    「じゃあ暁人、いいか。お前の本気は分かったが
     番の話はなしだ」
    「えぇ⁇‼︎」
    「いい訳ないだろ、オレの感情無視か?」
    「あ、う、そうです…けど…」

    目に見えて落ち込む暁人
    まぁ可哀想と言う感情は湧きがるが、愛だ恋だは話が別だ

    「ただ、大蛇の件は力を貸す」
    「‼︎」
    「しばらく起きれねぇようにぶっ叩いてやろうぜ」
    「う、うん!」
    「全力で沈めにはいく。ただ、それだけだ」

    この話にそれ以上も以下もねぇと改めて言い聞かせる
    神様ってのは都合がいいから、何かと契約を結びたがる
    だからこちらも先手を打つのは大事だ

    「…わ、かりました」
    「おう、じゃあ今日は一旦、」
    「貴方の感情が、問題なんですね」
    「帰らせてもら、ああ??」

    垂れた耳を真っ直ぐにおっ立てて、また訳のわからない事を言い始めた
    お前俺より長く生きてるよな?

    「貴方をその気にさせれば!番になってくれますよね!」
    「言ってねぇ」
    「いいました‼︎」

    またがしりと、両手を掴まれる
    男の力だ、離れねぇ

    「僕、頑張ります‼︎」

    声のわりに、自信があるのかないのか
    細かく手が震えていた
    立派な神様は恋に溺れてしまったようだ可哀想に

    ようは、オレが好きにならなきゃいい
    ただそれだけなら間違う事はないだろう
    このくらいの契約なら、いいか

    震える手に絆されてしまったオレは
    ただ、そうか、と言い暁人を見た

    「とりあえず今日は帰らせてくれ、明日またくる」
    「あ、はい!…あの…」
    「ん?」
    「な、なんと…お呼びしたら…」

    見てたんだから知ってんだろ
    と言いそうになったが、まぁこれも神様なりの決まり事だからな
    解いた手を暁人の頭にのせ、耳の間をなでる

    「KKだ、悪いが本名は捨てた」
    「KK…KK…!」

    何度も名前を呼ぶ姿は、プレゼントを貰った子供のようだった
    変な奴だ

    「またな、暁人」
    「また明日、KK」

    寂しそうに手を振る暁人を横目に
    少し小雨が降り出したた夜の街へ歩き出した
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    DONEまじない、あるいは、のろい (ここまで読みがな)
    K暁デー「スーツ」
    お題的なこともあって結婚と葬送の話をどっちも書きたかっただけです。あっきーがバカ重い感じですが、その環境ゆえにうまく隠すことがうまかっただけで彼の本質はこうだろうなーとか思ったり。いつものごとく二人で喧嘩して、戦って、駆け抜ける話です。
    中の人本当にありがとうございました、お陰で細々と楽しくK暁を追いかけられました。
    呪い短くも長くもない人生を振り返るにあたり、その基準点は節目にある行事がほとんどだろう。かくいうKKも、自らのライフイベントがどうだったかを思い出しながら目の前の光景と類比させる。
    準備が整ったと思って、かつての自分は彼女に小さな箱を差し出した。元号さえ変わった今ではおとぎ話のようなものかもしれないが、それでもあの頃のKKは『給与三ヵ月分』の呪文を信じていたし、実際差し出した相手はうまく魔法にかかってくれたのだ。ここから始めていく。そのために、ここにいる隣の存在をずっと大事にしよう。そうして誓いまで交わして。
    まじないというのは古今東西、例外なく『有限』である。
    呪文の効力は時の流れに飲まれて薄れてゆき、魔法は解け、誓いは破られた。同じくしてまさか、まじないの根本に触れることになるだなんて思わなかった、ところまで回想していた意識を、誰かに強い力で引き戻される。
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