その手を、放さないで『何度でも何度でも繰り返して
同じ日の同じ痛みを
それでもいいっておもえるから
あなたと居たあの日を
永遠に刻んでいたい』
『ー人、…暁人!おい、大丈夫かッ、暁人!!ッ』
声が、聴こえる。僕の名をよぶ、あたたかい声。
「…K…K…?」
ぼんやりと目を開ければ、霞んだ赤い月が見える。視界に被さる前髪をそっと払って、切なげに、そして僅かに安堵を含んだその声がまた、暁人、と呼んだ。
「…僕、また、やっちゃった?」
寝転がったその体制のままで、未だ髪に触れるその声の主に問いかければ、ああ、と怒ったような声音の肯定が帰ってくる。
どうやら、エーテル酔を起こしてぶっ倒れたらしい。供給と消費のバランスを良く考えろ、とあれだけ彼に言われていたのに、つい後先考えず飛び出してしまった。
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