幸せの温度「でっかいなぁ」
知ってたけど、という少年の朗らかな声が室内に響いた。
「大きいだろうか?」
「絶対に大きいよ。俺の二倍は太い。計ったことないし、今まで興味がなかったから平均値とかは知らなけど、絶対に大きい。オーダーメイドとかしないと入らないかも」
「それは、困る。君の手を煩わせてしまう」
「ごめん、ちょっと大げさだった。大きいけど、ネット通販とかも調べたらきっと見つかるよ」
「そうか。ならば、良いが」
「大丈夫だって」
少年の負担になるのではないか、と黄金の双眸を伏せるアオガミに向けて少年は笑いかける。にぎにぎと、アオガミの左手薬指を握りながら。
発端は、ふとしたきっかけであった。
ダアトにて金策として遺物を探している最中、偶然見つけたのは指輪であった。内側には二つのアルファベットが記載されており、慎ましく飾られた石がきらりとナホビノの掌の上で光った。
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