君の世界『第3層-3』 ぽつぽつと点在する光を手掛かりに、私は暗闇の中を走り続ける。
どこまでもどこまでも続く一本道。いくら走っても行き止まりはなく、体力に自信がある自分でも息が荒くなってきた。
やがて走ることが出来なくなって、その場で息を整えていると、何処かでガリガリと音がする。ぶつぶつ呟く人の声と共に。
私は音の方へ足を向け、歩み始める。
暫く歩いていると、キノコの光が等間隔に並んでいることに気づいた。ガリガリ音が大きくなって、それと共に人の声も大きくなる。
「ここをこうして……あぁ違う。こっちの式が……あぁ! どうして上手くいかない!」
ぼんやりと光るキノコの中、ストレイボウが木の幹を削りながら、羽ペンで数式めいたものを書いていた。その木は大人一人を寝転ばせたくらいの太さがあり、枝と葉が洞窟全体を覆っている。光を遮っていたのは、全てこの木の仕業なのだろうか?
1249