「お待たせしました。どうぞお召し上がりください」
「まあ!」
セイロンは目の前に出された皿に目を輝かせた。皿の上にはサーブされたグラタンが乗っており、湯気に混じってチーズの焼けた香ばしい匂いが鼻をくすぐらせていた。
「とても美味しそうね。楽しみだわ」
「サベージさんのレム・ビリトン料理はロドス一です。きっとお気に召すと思いますよ」
シュヴァルツが自分の皿と共にセイロンの向かいの席に腰を下ろす。
「では、頂きましょう」
二人はスプーンを手に取り皿からグラタンを掬うと、火傷をしないよう気を付けながら少しずつ口に運ぶ。
「う~ん、素晴らしいわ。レム・ビリトンの家庭料理というのは始めてたのだけれど、こんなに心が温かくなるものなのね」
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