手江澄は蓮花塢に来ていた金凌の手を見て、思い出していた。そして、ぽつりと言葉をこぼす。
「阿凌の手は姉上の手の形に似ている。」
その言葉を口にしたつもりはなかった。
ああ、姉は亡くなったが姉が生きていた証がここにあったのかと。
「え?母上の手の形に?」
「ああ。」
姉が結婚する前はよく料理をしているのを横で見ていた。その料理をする手を思い出したのだ。思い出したきっかけは分からない。
「そうなんだ〜!」
幼すぎて記憶にない母とのつながりを知ることができ金凌は嬉しそうである。
「俺はこの手が好きだ。姉がよく蓮根と骨つき肉の汁物を作ってくれた、その時を思い出す。」
「そうなんだ!ねえ!叔父上!叔父上も作ってよ!作り方も教えて!俺も作れるようになりたい!」
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