洛冰河補完計画(前) ある朝目覚めたら、本来下半身にあるべきものが綺麗さっぱりなくなり、代わりにある筈のないものが胸元で堂々と存在を主張していた。
「……おいこらクソ系統」
俺は牀榻から起き上がると取り敢えず手元にあった下衣を羽織り、通常なら平たい筈の胸――現在はたわわに膨らむ柔らかなそれ――を親の仇の如く睨みつけながら、系統を呼び出す。
怒りを表す為にわざと低い声を出したつもりがやけに高い声が出てしまい、それが更に俺の怒りを募らせた。
【はい、おはようございます。系統は二十四時間快適な暮らしをサポートしております】
「挨拶はどうでもいい。なんだこれは」
己の胸を指差しながら、空中に現れたスクリーンに向かって声を荒げる。
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