飴色蜂蜜君の熱冷蔵庫の中身とにらめっこするのは、基本的には僕の役割だ。
ルカはあれでいて立派なマフィアのボスなので、昼間も仕事がたくさんある。一緒に住み始めたからと言ってずっと一緒にいられるわけではないのは最初から分かっていたことだから、大して気にしてない。本当に。
僕の仕事ももちろんあるけど、そこまで忙しく活動しているわけじゃないし。こうしてルカの帰りを待っている時間は、僕にとっても大切なものとなっていた。
そういうわけで、今日も今日とて僕は食材達と戦争をするため意を決して冷蔵庫の扉を開けた。待ってましたとばかりに流れ出る冷気が頬を撫でる。
「あ、卵ないかも…買い忘れちゃったな」
メニューを考えるのはあまり得意ではないけど、ルカの為に作るようになってから少しだけレパートリーが増えた気がする。ほんの少しだけ、ね。
1957