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    Tofu san

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    Tofu san

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    プロット交換で書いた👻🌟小説です!

    #ゴストリ
    gostoli.
    #dbd

    星は波に打たれて眠りに落ちる。《トリックスター。お前にこれをやる。》

    そう言って渡されたのは、所々青み掛かった鍵のマークがついたオファリングだった。この様な色…ましてや鍵のオファリングなんてガス・ヘブンかハドンフィールドくらいだと思っていた。一体どこの鍵だろう…困惑の中エンティティからそれをもらう。

    「あ、ありがとう…」

    《先日、お前は発電機を5台残したまま生存者の魂を私の元へと捧げてくれたな。》

    確かに彼の言う通り、僕は先日生存者を全滅させた。あの時は本当に嬉しかった…でも、僕以外にも全滅を取ったキラーは沢山いるはずなのに…どうしてだろう。

    《新人キラーがここまで成果を発揮した事に私は大変嬉しく思っている。これを賞賛として、このオファリングは私からの褒美と言うことだ。存分に休息を楽しめ。》

    賞賛なんて彼らしくない言葉だな…それに、こんな何度も同じ儀式を僕らキラーにさせている奴が急に優しくなるなんて何か裏があるはず…深読みしてはいけないかも知れないが、こんな世界、警戒しない方が命取りだ。

    「嗚呼、そうさせてもらうよ…」

    渋々貰ったは良いものの、この鍵は何処へ行くんだろう…。白いアンティークな形の鍵をしていて、見ているだけでも満足する。しかし、使わなければ勿体ない。一体誰とこれを使おうか…僕だけに渡されたのだから、やはり僕だけが使うべき?

    「うーん…」

    悩んでいると、部屋の扉がノックされた。誰かと思いそこを開くと、白い泣き顔の様なマスクを着けた男…ゴーストフェイスがそこに立っていた。彼とはよく話す中で、一緒に晩酌した事だってある僕の中で彼は一番と言っても過言ではないほどの親しい関係だった。その瞬間、僕は思いついた。『彼と一緒に行こう』と…。

    「ねぇトリスタ、君の部屋に僕のペン落ちてなかっ」
    「一緒に行こう!ゴスフェ!!」
    「は?」

    彼に訳を説明した。全滅を取ったご褒美にエンティティから謎の鍵のオファリングをもらったこと。1人じゃ不安だからゴスフェもついて来てほしいこと。彼は暫く腕を組んで考え、数分経って渋々了承してくれた。

    「まぁ…いいよ?楽しそうだし」
    「本当!?ありがとう!ゴスフェがいると心強いよ」
    「はいはい。で?その鍵は何処に行くの?」
    「僕も知らない…」

    本当に何処へ行くんだろう…好奇心と不安が両立する…。しかし試してみなければずっとそのままだ。僕は決心し、儀式をするためのロビーへ彼と共に向かった。一応護身用としていつもの様にパークを揃え、アドオンを付ける。

    「準備はいい?ゴスフェ」
    「もちろん」

    一息ついてそのオファリングを燃やす。ここまでは儀式と同等…燃え尽きるのを見届けた瞬間、微かに潮の匂いがしたのは気のせいか…?
    スポットライトの様な光が突然現れ目が眩んでしまう。暫く目を瞑り、再び開くとそこは霧の森では想像も付かない光景が広がっていた。

    「海だ!!」
    「何で海?」

    先程の潮の匂いは気のせいではなかった!不気味なほどに何処までも続く白い砂浜、透き通った海水、そして束の間の休息には似合わない曇天…しかし天気だけで気分が下がるなんて僕らしくないと考え、とりあえずはしゃいだ。

    「凄い、凄い!」
    「そこまでテンション上がる?」
    「どうして冷静なの!?海だよ?もっと楽しまなくちゃ!」
    「君くらいだよ。僕は見てるだけでいいから。」

    そう言って彼は、いつからあったのかはたまた最初から用意されていたのかチェック柄のシートの上に座った。エンティティに感謝だ。もし僕1人でここへ来たとしても、こんな心から喜べなかったと思う。靴を脱ぎズボンを膝辺りまで捲り上げ、足だけ海水に浸かる。冷たく、そして何処か生暖かい…実に海らしい。ゴスフェも遊んだらいいのに、勿体無い。そうだ、折角ならもっと遊ぼうかな。砂浜から好きな色のシーガラスを取ってみたり…あ、ゴスフェに似合う色だ!

    「君に似合う色のシーガラス見つけたよ!」
    「はいはい君が楽しそうで何より」
    「もう、ゴスフェも楽しもうよ!」
    「さっきも言ったけど、僕は君が楽しそうにしてるのを見てるだけでいいから」
    「はぁ…」
    「貝殻でも探してきたら?飽きちゃうほどあるかも」
    「…そうする」

    彼に言われるがまま僕は貝殻を探した。ゴスフェの言う通りあっという間に両手が塞がってしまう程形や大きさが様々な貝殻を見つけた。沢山集められたのはいいが次第につまらなくなってしまう。そういえば、ここへ来たというのに全く海水に触れていなかったな…。僕は波打ち際に立ってみた。

    「うわぁ…あははっ!」

    潮風と僕の足元を通り過ぎる波が合わさってゾワゾワしてしまう…。この霧の森へ来る前も、一度撮影のために海へ訪れた時があった。その時もここへ立ったらこんな感覚になったっけ?毎回考えてしまう。もしも僕に重さが無かったら引き潮になった時、この何処までも続く青い海に連れ去られるんじゃないか。それを想像する度怖くなってしまうが、下を見ればある僕の足。それを見て安心する…が一通りの流れだ。しかし、こんな曇天では海があったとしてもやはり少々不気味だな…灰色の景色、まるであの世の様だ…。

    「凄いゾワゾワする…本当のゴーストが僕のこと呼び寄せてたりして」
    「死人の声で軽々しく着いて行く様な安い男じゃないでしょ君」
    「もちろん。生きた人間の声じゃなきゃ満足出来ないからね」

    それにしても、そこまで動いてないはずなのに倦怠感が凄い…海の力は偉大だ…。少し休憩しようと一息ついてゴスフェがいる所まで戻ろうとした瞬間、ドサッと大きな音がした。僕と彼は勢いよくそこに目を向けると、いつの間にか用意されていたワインのボトルと二つのグラス、そして綺麗に盛り付けされた軽食の入ったバスケットが砂浜の上に置かれていた。近づいて中を詳しく確認する。

    「これ美味しそう!あ、このワイン一度は飲んでみたかったんだよね〜!」
    「そういうところは気が利くのに、何で天気はこんななのさ」
    「別にいいじゃん、ほらこれ!君も好きそうじゃない?」

    シートに腰掛け、グラスにワインを注ぎ乾杯と言いながらそれを当てる。カチンッと心地よい音と共に一口飲めば、巡ってくるワインそのものの味。心地よい波の音と潮風に打たれながら彼と様々な話をする。

    「そういえばこの前面白いサバイバーに会ったんだ」
    「面白いって?」
    「僕が目の前で立ってるのに逃げようともしないで発電機直すし、やっと僕のこと見つけたと思えば叫びまくってロッカーに隠れるからさ」
    「それは面白いというより馬鹿なんじゃ?」
    「僕もそう思う。仕方ないから情けで最後にメメントしてあげたよ。ハッチの目の前でね」
    「君も悪い人だ」

    そう言いながら彼はマスクを上げてワインを一口飲む。ゴスフェも結構肌は綺麗な方なのに…見せびらかしたりしないなんて勿体無い。それより、僕と同じ様に残忍な事を何度もして来た彼も悪い人だと思うのだが…。

    「おっと、それはゴスフェも同じでしょ?」
    「僕はトリスタみたいに情けで最後にメメントしたりしないし。計画的にとどめを刺すから」
    「おー怖い怖い」
    「ここから戻ったら絶対ナイフを突き刺してやる」
    「その前に僕のナイフを君にデリバリーしてあげるよ」

    こんな会話をずっと続けていると、彼はいつの間にかボイスチェンジャーを切って素のダニーの声になっていた。あの低音で心地のいい声も好きだったが、やはり本当の声も僕は大好きだ。それにさざ波の音も聞こえて次第にうとうと微睡んでしまう…。

    「おや、ジウンはもうお眠さんなのかな?」
    「うん…ちょっと疲れちゃってさ……僕寝る…」

    倒れ込む様にダニーの膝に頭を乗せて眠りに落ちる。彼のつけているコロンの香水の匂いが更に僕を安心させてくれた。波の音も心地よい…ずっとこんな時間が続けばいいのにな…。

    ──────────

    ──────

    ───

    僕の膝の上でスヤスヤと眠る彼の顔を見ながらワインを飲む。空を見上げると雲が晴れ、少し日差しが差し込んできたのが分かった。今更気を利かせて快晴にしようなんて…遅いよ、エンティティ。もうジウンは寝ちゃったよ?

    「全く…。ん?」

    おや、少し髪が目に掛かってる…奇麗なメイクが乗った端正な顔を一撫で。思えば、あの有名なアイドル「トリックスター」がここまで気を抜いているのを見るのは初めてだ。無防備に寝るなんて彼らしくない…でもそこが愛おしくてたまらないな。…あ、そうだ。

    「…よし」

    僕は自身の服からカメラを取り出し、安眠している無防備な彼の寝顔を記念に一枚撮った。

    「よく撮れてる」

    僕だけの、トリックスター。

    「おやすみ、ジウン」

    そう言いながら触れるだけのキスをした。
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