王子たるもの常に優雅たれ 王子たるもの、常に優雅たれ。
ドラコニア王家の一員として、耳にマンドラゴラが生えるほど言い聞かされてきた言葉だ。
マンドラゴラは比喩ではない。優雅でない振る舞いをするとマンドラゴラが耳から生えるという呪いが、この世の中には存在する。
この僕とて幼いころは落ち着きに欠けていたのだ。さりとて幼さを理由に自由にさせては湖が蒸発し、星が落ちてくる。早急なしつけが必要だったろうと僕も理解している。マンドラゴラの叫びにも慣れた。
さて僕は、この百年で最大の試練に直面していた。
「そうなんですよ~。大切なスポンサーの方からのご依頼で、なんとか鑑定できないかと。私、優しいのでお断りできなかったんですよね~」
教室で星の動きを眺めていたら、そこで寮長会議が始まった。参加はやぶさかではない。
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