ひねくれた心を解きほぐして「もう、ミスラなんて、知りません…!」
夜も更けて、魔法者全体が寝静まった頃。
額縁から影を伸ばした双子に宥められながら、賢者はまるで幼子のように、嗚咽を漏らしていた。
「よしよし、賢者ちゃん、泣かないでー!」
「朝になったら、オズちゃんに怒ってもらおうねー!」
ぐすっ、と啜り泣く賢者の目元には、絶え間なく涙が浮かんでは流れていく。普段から声を荒げたりしない分、今回は余程の事が賢者を襲ったのだろう。
「優しい賢者にここまで言わせるとはのう…。」
「ミスラちゃん、一体何をしたんじゃ…。」
目を見合わせた双子を見て、ようやく落ち着きを取り戻したのか、賢者は涙を拭う。あまりにも動揺して、思わず彼らの部屋へと飛び込んだのだが、理由を話す前に泣き崩れてしまった。
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