彷徨う果てに「ミスラ、あの、苦しいです…。」
「そうですか。」
「少し緩めてほしいなぁ、なんて…。」
「嫌です。」
頭上で呟くそれに合わせて、晶を抱える力が増した。
添い寝を始めた当初は、眠れなさそうならば諦めて途中解散することもあったが、最近ミスラは晶を離さなくなった。傷の緩和に成功しているかと問われれば、否と答えるしかない。相変わらず、賢者の力とやらは気まぐれだった。
ケダモノと称される彼だが、晶と共に眠る姿はまるで幼い子供のようだ。これでも割と加減してくれているらしく、晶は苦笑いを浮かべる。
(いつから、添い寝が当たり前になったんだっけ。)
ミスラの傷が分かってからか。いや、最初は手を握るだけだった。そこから定期的に通うようになって、それから。
1892