「ふーちゃん、この世で1番うざいものって何かわかる?」
放課後、隣のクラスに浮奇を迎えに行けば、開口1番に始まるクイズ。机に散らばる筆記用具をポイポイ可愛い筆箱に突っ込む浮奇は、質問とは裏腹に機嫌はそこまで悪くなさそうだ。
「う〜ん。前髪が決まらない時とか?」
「うん、それもある」
訳知り顔で頷く顔は真剣さに溢れていて、重要な会議にいるかの様な気持ちになる。
「それもか…正解は?」
「正解はね〜5限のプール」
「あぁ……」
言われてみれば、教室には塩素の香りが微かに漂っている。
自分が声をかけるまで、古文の教科書を枕に爆睡していたのはそれが原因か。
「プールがあるのにドライヤー持ってきちゃダメなの頭おかしいでしょ」
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