遊戯 いつもの様に遊びに来た天生目だったが、様子はいつもと違っていて、鬼島は軽く首を傾げた。隣に座りながらも何処かソワソワと落ち着きが無く、持ってきた菓子を咥えると、何か言いたそうに鬼島を伺う。しかし、止めては眉を顰めて、緑の菓子箱を睨む様に眺めながら食べ進めると言うのを繰り返していて、気付かないフリをし続けている鬼島ではあったが、実際は気になって仕方が無かった。
家の仕事の事か、単に親父さんと喧嘩でもしたのか。聞いても良いのか、聞かない方が良いのか。
心配が苛立ちに変わり始め、いい加減、殴ってでも白状させようか、と鬼島が思い始めたその矢先。
「空良」
緊張した様な強張った声で呼ばれ、顔を向ける。矢鱈と真剣な目をした天生目が真っ直ぐに鬼島を見ていた。
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