結局クレさんを愛でたいだけの話(👕)「ちょっと、ふふ、ウミ。笑ったら失礼ですよ」
「そういう、ひ、イーグルだって、笑ってるじゃない」
体育館の壁にもたれながら、イーグルと海は互いの脇腹を肘でつつきあった。
不運が重なった結果だった。
3,4限を通して行われる学年合同の球技大会のその直前。
校舎を出て、体育館へ移動する途中のことだった。
他学年の生徒がふざけて三階のベランダから落としたボールが、海の歩く真横の水たまりに落下した。
ボールは着水し泥水を跳ね上げる。
真白な体育服は、完全に茶色に染まった。
海は一跳ねの泥を受けることもなく無事だ。
代わりに、この世の泥のすべて請け負ったのが、クレフだった。
生徒は青ざめ逃げ出していく。予鈴が鳴る。追う余裕はない。
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