現パロネロカイ小話カインは人が大好きで、基本的に誰とでもうまくやれる。たくさんの人とかかわっているうちに、カインは相手が自分のことをどう思っているのか、なんとなく感じることができるようになった。そして、ありがたいことにカインは自分のことが好きだと思ってくれている人に囲まれていた。
しかし、たぶん自分のことが嫌いなんだろうな、と感じる人ももちろんいて、その日はその自分のことが嫌いだと思っているらしい上司にこっぴどく叱られた日だった。いつもなら、仕方ないと流すところだが、ここのところ仕事が立て込んでいて疲れていたため、カインは暗い気持ちを引きずったまま帰路についた。
帰って夜ご飯を作るのも億劫だったが、何か食べたいというものもなく、ただ一歩が重いと感じながらも帰り道を進んでいた。そんな時、いつもなら素通りする小さなラーメン屋がなんとなく目に留まった。比較的オフィス街に近いためか、夜遅い時間までやっている店だった。この間休日に偶々店を前を通った時に、少し並んでいたからおいしいのかもしれない。少し迷ったが、ひらひらと風にはためく赤い暖簾に誘われるように、カインは店の中に入った。
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