Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    おもち

    気が向いた時に書いたり書かなかったり。更新少なめです。かぷごとにまとめてるだけのぷらいべったー→https://privatter.net/u/mckpog

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💞 💯
    POIPOI 288

    おもち

    ☆quiet follow

    さいぼぐネタメモ。書こうとしてた話のあらすじ的なやつ。

    付き合おうと言ったのも俺からで、別れようと言ったのも俺からだった。
    彼に俺のことを一番に愛して欲しかったから彼を俺のものにして、彼の優しさに耐えきれなくなって俺から手を離した。優しい彼は俺を詰ったり理由を追求することなく、ただ「わかった」と言った。俺が別れを切り出すまでに悩んだ時間なんてなかったみたいに呆気なく糸が切れる。もしかして愛し合ってた時間も夢だった?と不安になってしまうくらい。毎晩彼の夢を見て、目が覚めて現実に気がつき枕を濡らす。大人な彼は配信上では今まで通り俺に優しく、愛情を向けてくれて、だけど配信外では業務的なやりとり以外は極端に減った。それでも全くゼロではないのは、彼が優しすぎる大人で俺が不安定なこどもで、俺たちが同じユニットでデビューした仲間だからだろう。彼に迷惑をかけることしかできない。
    大人数のコラボ配信であれば、彼が適度に俺のことを気にかけてくれるだけで友人たちもリスナーも誤魔化せていたけれど、ノクティクス5人でのコラボや定期的にやっている俺と彼との二人でのコラボではそうもいかない。俺はお酒を飲んで自分の口調を誤魔化し、今まで通り酒に酔ったことにして彼の名前を口にした。ふーふーちゃん、と、もう配信外で甘えて呼ぶことができない分、彼が答えるしかない配信上でその名前を呼ぶ。なんて自分勝手でズルい生き物なんだろう。配信が終わってから「ごめんね」と送り、彼が「気にするな」と返す、形式だけのやりとりが寂しくて仕方なかった。
    一度離した手をもう一度繋ぐことは俺からしてはいけないだろう。それでも別れたことをとても後悔していて、俺は何度も何度も彼に電話をかけようとしてやめたり、彼の家までの道のりを調べてはスマホを投げたりと、ぐちゃぐちゃな気持ちで日々を過ごしていた。実際に会ったのは片手で足りるくらいの回数だ。それでも俺たちはネットを介してではないリアルの付き合いがあって、俺は彼のハグも、キスも、忘れることができない。彼の家族である俺よりも重い大きなワンちゃんと散歩に出かけるのも楽しかった。彼が俺の家に来た時は、俺の大切な愛猫を彼も可愛がってくれて、でも人見知りなあの子はなかなか彼に近寄らなかった。
    二人きりの配信の後、またアルコールに頼って最後にはうまく言葉が出てこなかった俺を彼は配信を終えるまで見守ってくれていた。配信を切った後、まだ彼がVCにいることも忘れて嗚咽をこぼす。なんで俺、彼の幸せだけを願えないのかな。俺を一番に愛してなんてワガママなことを考えなければ、付き合おうなんて言わなければずっと彼と仲良くいられたはずなのに。でも、付き合わなければ彼のハグも、キスも、一生知ることがなかったんだ。今ものすごく寂しいのは彼の温かさを知っているせいだとしても、知らないままでいるよりずっと良いはずだ。
    「泣いてるのか、浮奇」
    「! え、あ、うそ、まだ繋がって…えっと、よ、酔ってるみたい」
    「…浮奇」
    「〜ごめん、切るね、おやすみ」
    どうしよう、泣いているのを聞かれてしまった。…でもいまさら、彼はどうとも…ううん、だって、彼は優しい人だから。きっと俺がどうして泣いていたのかたくさん考えて、自分にできることはないかって、また優しさを向けてくれるんだ。自分を大切にしろってあなたは言うけど、そんなのこっちのセリフだ。どうか、あなたの気持ちを大切にして。俺のことなんて放っておいていいから。

    インターホンが鳴って玄関を出ると俺は自分が夢を見ているのかと思って頬をつねった。予知夢でもないはずだ、だってこんなこと起こるはずがないんだから。自分の願望が勝手に夢を見させているんだろうか。一瞬でフル回転した思考を、たった一言で止めてみせる人。
    「浮奇」
    「…ほんとうに、ほんもの?」
    「ああ、夢じゃないよ。つねったところが赤くなってる、痛みは?」
    「…よく、わかんない」
    「アドレナリンでも出てるのか?…ええと、突然来て悪い。…別れた男の家に行くなんてマナー違反だとは思ったんだが」
    「…ううん……入る?」
    「…浮奇がいいなら」
    ダメだと言うべきだろうか。まだ彼のことを好きな俺の近くに、彼がいてはいけないかもしれない。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭🙏😭🙏💖😭😭😭😭😭😭😭🙏🙏🙏🙏😭😭😭😭😭🙏🙏🙏😭😭😭😭💕💕💕😭😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works