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    牛タンの猛者

    落書き投下 雑食

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    牛タンの猛者

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    創作男がポッキーゲームしてドキドキしちゃうお話です。短文。

    #創作BL
    creationOfBl

    「ポッキー1本あげるから、ポッキーゲームしてください!」
    ポカーン。いま皆の顔に効果音をつけるとするなれば、まさしくこれだろう。公園でお昼ご飯を食べ終わり、談笑しながらお菓子でもつまもうとした瞬間のことだった。向こう側から小走りで駆け寄ってきた女子5人。が、こちらに近づくなりポッキーをずい、と差し出しながらそう言った。(そして冒頭に戻る)
    すると周りの友達はしきりに顔を見合わせて、「じゃんけんするか」と言った。正直僕は抵抗があったので、拒否しないんだ!?と驚いたりした。でも逆にここで引くのもなんかなぁ...と思い、じゃんけんをすることにした。
    ...結果は見事に負けた。二回やったのにも関わらず、だ。僕のこういう時の運のなさはピカイチだと思う。...あまり嬉しくないけれど。相手は悠里だった。そこは唯一助かった部分かな、と思う。でもやはりいくら仲のいい悠里でも抵抗はあるものだ。決して嫌なわけではない。ただそれを周りの人に見られ、あわよくば写真を撮られるというのがいけ好かないのだ。チラ、と悠里の方を見てみると、平然とした顔でポッキーを咥えていた。準備早ッ僕はまだこんなにも悶々としているのに、悠里はスパッと切り替えていて、なんだか悔しくなった。負けじとポッキーを咥える。ビスケットの素朴さと、抹茶の上品な香りが広がる。咥えた瞬間の、周りからの黄色い悲鳴が恥ずかしかった。向こう側の悠里は、なんだか試すような、挑戦的な表情をしていた。咥えたはいいものの、ここからどうしたらいいのか分からずにいると、悠里がポリ、と音を立ててポッキーを一口囓り進めた。バクン!大きく心臓が跳ねる。驚いて、思わずポッキーから口を離す。「あ〜〜」周りの反応で顔から火が出そうなくらいに、更に恥ずかしくなった。
    結局僕はポッキーのビスケット部分を咥えただけだった。悠里の口に取り残されたポッキーを、相変わらずの表情で食べ進めていく悠里。あ、僕の咥えていたところが近くなる...。どうするんだろうか。と固唾を呑んで見守る。その瞬間も心臓の鼓動が、まるで早鐘のように鳴っていた。ポリッ。とうとう悠里は、最後の一口を口の中で咀嚼し、飲み込んだ。それから僕の方を見て、少し照れたように笑った。


    あれから悠里といると、心臓があり得ないくらいの速さで鳴ることが結構増えた。ふとした瞬間に、あの時を思い出してしまってなのだろうか。
    ー...この時の僕にはまだわかり得ない感情に気づく瞬間は、そう遠くはなかった。

    Fin.
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