冷房設定二十八度「暑い……もう一度下げていい……?」
毎日のようにどんよりとしていた梅雨が終わり、いつの間にか暑さの厳しい夏になっていた。寒いのも苦手だけれど暑すぎるのもごめんだ。室内にいる時くらい快適に過ごしたいのに、同居人ときたら、おれにクーラーのリモコンを触らせてはくれない。
「だぁめ。喉痛めちゃうかもしれないし、電気代だって節約したいしねぇ」
「電気代ならおれが払うから……」
日本に帰ってきても相変わらず一緒に住んでるおれ達だけど、だいたいの生活費は折半にしている。その方がセナが過ごしやすいというのだから、仕方ない。
「だぁめ。そうやってれおくんはすぐお金で解決しようとするんだから」
「だってさぁ、実際暑くない? 二十八度ってさぁ~? おれ暑くて頭回らないんだけど…… 」
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