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    ちまちま

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    伊織に対する周りの評価にそんな事ないだろって思ってるぐだくん。

    ※汎伊が居るカルデア

    #伊ぐだ♂

    どうして、知らないのかしら?朴念仁、甲斐性なし、剣の馬鹿、

    ある人物を差して皆が、特に交流のある者は口を揃えてそのようにいい表す。特異点で出会いそれなりに人と成りを見ては来たが確かに否定できない部分は多々あった。これまでの生き方考え方を剣の道に極振りして生きてきたのだと聞き及んだとしても度を超えているとは思う。が、それを決して悪いとは思わない。己の軸とも言える部分を否定されて楽しい人間など居ないだろう。ましてや古今東西果ては領域外の者まで居るこのカルデアに於いては。

    「全くもってけしからん。何故此方の話を放り出してまで柳生の誘いに乗るのだ……!」
    「伊織殿にに今更だとは思うが」
    「そうだな!あのカイショーなしは───」
    「……」

    正雪とタケルの話を聞く限り渦中の人は会話の途中で稽古に行った様だ。名を挙げられた人物も伊織からすれば剣聖と謳われた憧れの存在だろうしどちらを優先するかと言えばそれは憧れを取るかもしれない。

    共同スペースでの会話をたまたま聞いてしまったが、宮本伊織という人物に関してはそういった節があるのは否めない。本人の気質もあるがそもそも剣に関すること以外とんと興味が無いときた。着物も着たきり雀だし(之はサーヴァントである以上仕方がない)他人からの好意には疎くフラグが立ったかと思えば実は立ってすらいなかったなどザラ。まぁそういう人も居るだろうと立香的には思っているが割と男女比が女性に傾いてる此処では当たり前だがウケは悪い。仕事として依頼は受け付けてくれるもその後の付き合いに関してはさっぱりといってないのではそれはそうだ。

    ぱたんと本を閉じて小脇にしまい込むと尚伊織への不満を漏らすタケル達の横を通り過ぎて約束している場所へ足を向けた。案の定彼らに声を掛けられたが急ぎなのだと断りを入れその場は辞した。

    ◇◇◇

    シミュレータ内。入って早々に鍔迫り合いをしながら鬼気迫る斬り合いを演じているセイバーが2人。邪魔にならない様にと離れた場所から眺めていればそう時を置かずに戦闘は終わりを告げる。
    先程の話では伊織が相手の話を切り他の誘いにとの事だったが実の所は違う。

    「多分環境のせいだと思うんだけどなぁ」
    「藪から棒になんだ」

    既に稽古も終えて流した汗を手ぬぐいで拭く伊織にボヤく。

    「君の評価」
    「俺の?」
    「そ」

    訝しげな彼に飲み物を差し出せば素直に受けとり嚥下する。ごくごくと飲み干す度に動く喉仏を見ながらぼんやりと考える。
    そもそも彼の生活基準は一定ではなく先ずは日々を生きる方が先決。加えて浪人という身分のもあり剣を欠かすのは本人の性格上出来ることでは無い。伊織自身も士官を考えていない訳では無かったそうだが如何せん自分の道を往く事を優先したが故の結果だ。そこに関して彼の決断なのでとやかく言う必要は無い。それらを踏まえて導き出される答えと言えば……

    「衣食住足りて礼節を知る……ってのとはちょっと違うけど結局安定の上に人間関係とか気遣いって備わるものじゃない?」
    「まぁ野盗や追い剥ぎに礼を説いてもな」
    「そうそう。だからさ君をマイナスに捉える人は結局上からモノを見てるのかな……と思うと何だかあれ」
    「あれ」
    「愉快」
    「ゆかい……愉快??」

    よく分からんとばかりに頭を傾ける伊織にだってさ、と告げる。

    「君本当に良く気が付いてくれるし、なんだってあんなにぽんぽん言葉が出てくるのさ?」
    「言葉……何か其の様な事を言っただろうか……」
    「へぇ?酷いなぁ。あんなに好いてるだの共に在ろうだの俺の事が大好きで堪らないって表情で言ってくれてるのに」
    「……立香」
    「なぁに?」
    「その話はまた後で、だ。周りを見てみろ」
    「気にされるな主殿。我等は野に咲く雑草とても思って頂ければ」
    「この貞次も同じく」

    ついさっきまで伊織と試合っていた2人が気にせずにどうぞと言わんばかりに微笑ましい笑みを浮かべてニコニコとしている。若干居心地の悪そうな伊織がまだ言いたげだったが構わずに彼のゴツゴツと骨ばった手を取り振り向きざまに

    「それじゃあお言葉に甘えて伊織もらっていきますね!」
    「存外アツいな異界の私!」
    「……余計なお世話だ」

    苦々しいと顔を歪ませる伊織を引き摺るように連れて歩く。初めからこれが約束していた予定だったがそれを知らない第三者には会話を無下にする無骨ものと思われたのだろう。それを言わない伊織も伊織だが周りが勝手に勘違いをするのを止めろというのも難しい話だ。

    いつの間にか指を絡めて取られて恋人繋ぎになっていた。確かに彼は多くは語らない。だけど行動は人によりけりなのはもう十分すぎるほど理解している。

    「ふふっ」
    「ご機嫌だな」
    「そりゃそうだよ」

    華が綻ぶように大輪の笑みを彼に。

    「だって君と一緒いるのが嬉しいんだ」
    「……!………………全くおまえには敵わないな」
    「あはは」

    絡め取られた手を強く握り返した。

    (みんな知らないの。彼本当はとっても感情豊かで好きな人には真っ直ぐに一途だってコト。俺だけが知っている俺だけの伊織(セイバー))
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    lunaarc

    MOURNINGバレンタインで失恋して部屋を出たら晴信さんに会って、察せられて泣いちゃったところを追いかけてきた(タケルに言われて)伊織が目撃する伊ぐだ♀
    …のつもりで書いてたんだけどたぶん最後まで書ききれないと思うのでここまで。

    伊織いないけど伊ぐだ。晴信とぐだ子は×じゃなくて+(兄妹みたいな感じ)
    サムレムはコラボしか知らない+第一部と1.5部ちょっとしかやってない知識量のマスターです
    どうやって部屋に戻ったんだろう。腕いっぱいに抱えた仏像を棚に並べて、立香はしばし立ち尽くす。
    わかってはいた。一緒に駆け抜けた偽の盈月の儀の最中、ことあるごとに、傍で見てきた。
    片方が記憶を失っていても、あの二人の絆は強固なものであると。その間にぽっと出のマスターが割り込むなんてもっての外だと。わかっていても。
    「……はぁ…」
    それでもやっぱり、寂しい。
    そのやりとりを微笑ましいと思っていたのは確かだ。戦闘時には抜身の刃の化身のような鋭さを持つ青年の雰囲気が、彼の相棒が一緒だと柔らかく変化していく。それを見ているだけで十分だと、最初はそう思っていた。
    ただのマスターとサーヴァント。その垣根を超えるような接触をしてきた者は他にもいた。けれど立香はそれでもマスターでいられた。一人の人間としてではなく、サーヴァント全員のマスターとして。そうあることが自分の存在価値なのだと割り切っていたからだ。
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