十二月十八日、夜――。
『親が夜勤だから、来るか?』
届いたショートメールをみて、慌てて上着を羽織る。どうせ何事かと止めるような親はいない。ペケJのエサと水だけ取り替えて、鍵をしめるのもそこそこに場地さんの家がある五階へ一気に駆けあがった。
おそるおそるチャイムを鳴らせば、しばらくの間を置いて、傾いだ音を立てながらドアが開く。出迎えてくれた場地さんは、僅かに驚いたように目をぱちぱちとさせて、フッと破顔した。
「すげぇはえーな、おい」
「は、はいっ」
「三分たってねぇゾ、オマエ本当にオレのこと好きだな」
そんなことはない、と言うことはできなかった。全開の笑顔で迎えられて、顔が熱くなった自覚はあるし、ぐしゃぐしゃと頭を乱暴に撫ぜる手もただ嬉しくてそれ以上何も言えなくなる。
3009