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    karen_nyamnyam

    @karen_nyamnyam

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    karen_nyamnyam

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    画配が公共マップでそれなりにイチャついてるお話です。
    一応エドガーの誕生日祝いのつもりで書いていました。
    ※ビクターが喋ります。

    誕生日の特別なケーキ ゆらり、ゆらりと揺れる船の中で、エドガーは楽しそうに踊る人々をつまらなさそうに眺める。
    巨大な船に夜空に打ち上げられる花火、これらから何かしらインスピレーションを得られるかと足を運んだものの、覗いてみればただのどんちゃん騒ぎだった。

    (……馬鹿みたい。飲めもしないのに流されて酒を飲んで酔い潰れてる奴らも、馬鹿みたいに踊ってる奴らも)

    とはいえ、ある程度時間が経たなければ居館には戻れないらしく、エドガーはため息をつきながらワイングラスを傾けてワインを飲む。

    「ん!」
    「ワンッ!」
    「……? ビクター、それにウィック?」

    ビクターはステーキの皿とチーズプラトーを手にしていて、コトン……とエドガーの前にチーズプラトーを置いた。

    「……どうしたの、これ」
    『向こうのカウンターで頼んだんだ。エディ、ずっとワインだけ飲んでるから、何か食べ物を……って思って』

    チーズプラトーはエドガーの好物でもある。
    それを覚えているからこそ、ビクターはこれをわざわざ頼んでくれたのだろう。

    「……ありがと」
    「んっ!」

    エドガーがテーブルの下で短い尻尾をぱたぱた振っているウィックの頭を撫でてやりながら礼を言うと、ビクターは嬉しそうに笑った。

    「……ねぇ、ビクター」
    「?」
    「ステーキ、一切れ頂戴」

    ビクターは頷いてはステーキを一口サイズに切り分けてはフォークに刺し、「ん」とエドガーに差し出す。

    「…………」
    「……?」

    エドガーが無言でビクターを見つめると、ビクターはみるみるうちに顔が赤くなり、恐る恐る手を引っ込めては蚊の鳴くような声で呟いた。

    「こ……小皿、貰ってくる……」

    けれど、フォークを置く前にエドガーがビクターの手を掴み、そのままステーキを口に運んだのだ。

    「っ、エ、エディ……?」
    「ん、悪くない味だね」

    小さく笑いながら言うと、ビクターは顔を赤くさせたまま掴まれたままの手を見つめる。

    「……なぁに、手を掴まれたのそんな顔するぐらい恥ずかしいの?」
    「……っ」

    こくっ……と頷くと、エドガーは頬杖をつきながら「もっと恥ずかしいことした事あるくせに」と言ってビクターの手を離した。

    「じゃあ……好きなチーズあげる。どれ食べたい?」
    「ぇ……」

    ビクターはチーズが並べられた皿を眺めてはやがて小さめに切られているカマンベールチーズを指差し、エドガーは「これね」と言いながらフォークでカマンベールチーズを刺す。
    そうしてビクターの口元に持っていっては「はい」と差し出したのだ。
    ビクターは恥ずかしそうに目を伏せながらもぱくりとカマンベールチーズを口に含み、ぽつりと呟く。

    「お……い、しい……」
    「ん、なら良かった」

    エドガーはアボンダンスチーズを口に含んで飲み込んではワインを飲む。
    先程は差程美味しいと感じなかったワインがどこか美味しく感じるのは、チーズを食べてから飲んだからなのか、それとも。

    「……はっ。結局、僕も浮かれてるってことか」
    「……?」

    ビクターはなんの事か分からず首を傾げ、エドガーは「こっちの話」と言いながらまた他のチーズを口に運ぶ。
    しばらく食事と酒を楽しんでいると、皿が片付く頃にビクターが皿を返して来ると言って席を離れた。
    ウィックはエドガーの足元でお座りをしたままで、エドガーは「ウィックは行かないの?」と聞くと、ウィックはエドガーを見上げたまま小さく「クゥン」と鳴く。

    「……そっか」

    エドガーはウィックを撫でてビクターが戻ってくるのを待っていると、数分経ってからビクターが漸く戻ってきた。
    その手にはエドガーの衣装の『黄金比』をイメージしたような小さなケーキがあったのだ。
    薄くスライスした林檎が薔薇のように巻かれていて、金箔が散らされている。
    四角のチョコプレートには『Happy birthday to you』という文字が書かれていて、エドガーは目を丸させた。

    「……ビクター、これ……」

    コトン、とケーキをエドガーの前に置いてはビクターは紙にペンを走らせる。

    『実は、ケーキ作ったんだ。今日エディ、誕生日だから』
    「……それは、そうだけど」
    『エディがパーティが好きじゃないのは知ってるけど……誕生日ケーキだけでも、食べて欲しいなって思って。だって、普段食べるケーキも美味しいけど、誕生日に食べるケーキはまた別だから』

    ビクターの言葉に、エドガーは幼い頃に母と妹と一緒に誕生日ケーキを食べた時のことを思い出した。

    『兄様、お誕生日おめでとう!』
    『エドガー、おめでとう』
    『ありがとう、エラ、母さん』

    母は苺がたっぷり盛り付けられたデコレーションケーキをテーブルに置き、幼いエドガーは嬉しそうに笑った。

    『わぁ……これ、母さんが作ってくれたの?』
    『ええ、これでもお菓子作りは好きなのよ』
    『すっごく美味しそう! ねぇねぇ、エラのお誕生日もケーキ作ってくれる?』
    『勿論、とびっきり美味しいケーキを作ってあげるわ』

    母が作ってくれたケーキは、おやつの時間に出されるケーキよりもずっと美味しく感じた。
    あれは母が作ってくれたからなのか、それとも誕生日に大切な人が想いを込めてエドガーの為だけに作ってくれたケーキだったからなのか。
    エドガーは差し出されたケーキをフォークで切り分けて、口に含むと。

    「……ビクター」
    「……?」
    「……美味しいよ。……ありがと」

    母が作ってくれたケーキとはまったく違うのに、こんなに美味しいケーキを食べたのはあの日以来だ、と……そう感じて優しげに微笑んだ。

    「……!」

    ビクターは安心したように、そして嬉しそうに微笑んで頷き、やがてエドガーにしか聞こえないぐらい小さな声でエドガーを呼ぶ。

    「……エディ」
    「なぁに」
    「誕生日……おめでとう」

    エドガーはケーキを飲み込んでは「ありがとう」と返し、またケーキを口に運んだ。
    どうでも良かった自分の誕生日が、十数年ぶりに嬉しいと思える日となった。
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