其は墓の中全てが真っ赤になり、そして、黒く沈んだ。何も実らず、何も成らず、死だけが量産された殺し合い。
バケモノを退治した英雄達の眼には色濃い宵闇が映り込み、光を殺すばかりである。
その戦の名は報告書にて、ナザリック地下大墳墓掃滅戦と名付けられた。
流れる汗が見開かれた眼に入ろうとしていることに気が付き、人間は己が息を乱していることをやっと自覚し動揺した。その汗が灼熱の炎による熱で生まれたのか、内臓を撫で回されるような不快感から生まれたのか、その人間の戦士には、判断はつかなかった。
地下深くにあったそこは、まさに炎獄。まるで生きたまま地獄に辿り着いてしまったかのような、昏く燃え盛る痛みと死の蔓延る場所だ。
「が、あっ……!!」
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