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    wooowiiio

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    wooowiiio

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    面白いのかわかんなくなってきた

    ショタがショタのまま攻めるショタおに──魔族。
    それは、人ならざる者の総称。
    そうして世一には、お仕えしている〝ご主人様〟が居る。

    〝ご主人様〟は魔族で、人じゃない。
    短命種の世一よりも遥かに永い時を生きる長命種であり、魔力という不可思議な力を持つ存在。
    魔族の見た目は様々で。基本的にな形は人間とほぼ同じだけれど、角だったり羽だったり尻尾だったりと、よくよく見ると人間にはないパーツを有しているのが殆どだ。
    そんな中で、世一のご主人様は人と同じ姿──といっても、一目で〝人外〟とわかる端麗な容姿なのだけれど──で、違う所は頭に黒い角が生えてるくらい。

    世一は、幼い頃にご主人様の元へと連れてこられた。
    多分、よくある人身御供だ。人間と魔族は共存して生きているとはいえ、所詮は建前。
    魔族が〝その気〟になれば簡単に壊れる薄氷の盤上で息をするしかない人間は、いつだって魔族の顔色を伺って生きている。だからきっと、世一が(ここに居る()のもそういう理由なのだ

    ──この街だってそうだ。
    この街の全土がご主人様への供物であり、ご主人様への捧げモノ。
    遠目からでも解る、高い石壁にぐるりと囲まれたこの街。美しく整った景観の、世一のご主人様の支配地。
    この地に棲まう人間は、魔族たるご主人様の(お情け()で壁の外の魔物──言葉の通じない魔力を持った獣で、人を好んで喰らうのだ──から護っていただいている。
    つまりこの街は魔族の箱庭で、ここに棲む人間は等しく(魔族のモノなのだ()。
    そうしてけれど、それに異を唱える者なんて居やしない。というか、そんな事、出来るわけがない。
    なんせ、許可なく街の外に出れば呆気なく魔物の餌になってしまうのだから。
    そう、許可なく他所の街に移動する事は許されず、街同士の商売だって街の(領主(支配者)たる魔族の許可が必要の、厳粛なルールに縛られた世界。
    けれどそれは必要なことで。だってじゃなければ、人間は安全に移動する事だって叶わないのだから。
    そう。(無力な(魔力を持たない)人間は、魔族の助けがなければ〝外の世界〟で生き延びる事は不可能なのだ。
    魔物の皮は固く、人間の力じゃ刃物で切り裂くことも貫く事も出来ない。
    人間が魔物を屠る為には魔族が作った武器が必要で、それは人間には作れない。だから人間は媚びを売って、自分たちを護ってくれる魔族の機嫌を損なわないようにする。
    だって、(良き隣人(都合のいい生き物)であろうと務めるしか、人間に生き残る術はないのだから。
    そうだ。だから生まれたばかりの赤ん坊を指さして「これが欲しい」と言うだけで、あっという間に赤ん坊は魔族のモノとなってしまうのだ。
    ───そうして、ただ(ソレ()が世一だっただけのコト。

    何が面白かったのか。生まれ落ちて間もない頃に、魔族に見初められた子供。
    〝街で生まれた子は生後百日以内に領主たる魔族にお披露目せねばならない〟という規則にただ従った夫婦が、抗う術なく手放すしかなかった人の子。

    この広い街の、一等広いお屋敷。
    街を見下ろす小高い丘の一等地。
    その膨大な敷地を、ぐるりと背の高い黒格子の塀で囲んだ城の様に大きなお屋敷。
    そこに12歳の頃に連れてこられた世一は、早々に自信の運命を受け入れてしまっていた。
    ──いや、受け入れるしかなかったというべきか。
    物心つく頃から街の大人たちに囲まれ〝どうか賢く生きてくれ〟と〝この街の為にどうか一日でも永く魔族に気に入られ続けてくれ〟と願われ教育を施されてきた世一には、最初から〝(自分の為(エゴイスト)に生きる〟だなんて選択肢は存在しなかった。

    そう、世一が領主たる魔族に気に入られ続ければ気に入られ続けるだけ、この街の平穏は保たれるのだ。
    なんせ、支配者の気紛れで街が退廃するだなんて話、この世界にはありふれ過ぎているのだから。
    気紛れで残虐な魔族に滅ぼされた街は、数えることも不可能なくらい多くて。その度に〝調整の為〟と、適当な街から適当な人間が(出荷()され、新たな街の新たな住人として新たな領主へと献上されていく。まるで、物みたいに。
    ──その中で、この街は魔族に血の生贄を求められる事もなければ、人が(いつの間にか()消える事だってない。
    つまりは、他の〝最悪〟に比べるまでもなくこの街は平和で、(当たり)の部類。
    ただ人間の少年が一人求められ捧げられただけの、(その他大勢は無関心で居られる()他に比べたら天国の、満たされた環境。
    だからこそ、この街の平穏は、支配者たる魔族の寵愛を一身に受ける世一の身体に掛かっていて。だからこそ、誰も世一の自由なんて望んじゃ居ない。
    これは、そういう話なのだ。
    「……、………」
    屋敷の窓辺に立ち、ぼんやりと下を見下ろす。
    今日の暮らしはどんなものなのだろうか。この屋敷は小高い丘の上全てを覆い尽くす立地にあるから、屋敷の中からでは街の様子なんて拝めやしない。
    そうして庭には自由に行けても、世一は街へと繋がる正門付近に近づく許可は与えられていないから。街を見下ろすことだって叶わない。

    穏やかなのだろうか。
    人々の暮らしは、ちゃんと守られているのだろうか。

    ここに来てからの暮らしは、閉鎖的で、息が詰まる。
    ただ主人を想い、主人にだけ尽くすだけの、淡々とした代り映えのない毎日。
    けれどそれに、世一は退屈と飽きるコトも、ましてや変わりたいと願うコトだって赦されやしないのだ。

    あァそうだ。この閉鎖的な世界は、世一にきっとこの先も〝外〟に出られる日は来ないんだろうと静かな諦観を抱かせる。
    そうきっと、きっとずっと、この先も─────


    「───よいち」


    ハッと我に返れば、(腰に細い腕が巻き付いていた()。
    その、柔くもぎゅうッと細腕で締め付けられる感覚に。世一は密めていた息をゆるりと解き、窓に向けていた視線を(腰元へと()慎重に下げていく。
    そこには小柄で華奢な体躯の子供が、世一の腰に抱き着きながら上目遣いで世一のことを見詰めており。そうしてそれに、世一はいつも通りの言葉を投げかけるのだ。

    「何か御用でしょうか、(ご主人(カイザー)様」

    そう、ご主人様。
    この子が、(この子供()こそが、世一のご主人様。
    この広大な街を統べる、(尊き魔族の麗しき御方(この地に棲まう人間の飼い主)。

    カイザー。それがこの魔族を示す名前。
    ひと目で人外と解る美貌を咲かす、影の中でも光り輝くような見目麗しき姿。
    (そんな()子供は、花の貌(かんばせ)をゆるりと綻ばせ。世一の腹にすり、と頬を擦り付けながら、どこか満足気な声音を喉から洩らしていく。
    「んー……」
    甘えたい気分だったのだろうか。
    幼い主人の機微をひっそりと悟った世一は、無言でそっと丸みを帯びた小さな頭を撫でていく。
    さらりと金糸の髪が指の隙間を滑るのが、なんとも心地いい。つるりとした毛には、恐ろしい程に隙がない。まるで絹糸のような質感だ。
    美しい魔族の子。幼くて、あどけなくて。恐ろしい存在には到底見えない華奢な身体。
    けれど(一度(ひとたび)(その気()になれば、瞬きの間に街を焦土と化してしまえる、人智を超越した生き物。

    ──世一は、幼い頃にこの屋敷へと招かれた。
    そう、(自分を選んだこのご主人様に望まれたその日から()、世一は〝ご主人様だけの世一〟としてずっとずっと息をし続けているのだ。
    母に母と甘えることも許されなかった。父を父と呼ぶ事も許されなかった。というか、そもそも両親に会ったこともなければ、顔は愚か名前だって知りやしない。
    この街で生まれて、このご主人様に見初められて。愛想笑いの大人たちの手で育てられ、頃合いになった時にここに捧げられ、気付けば17年の歳月が経っていた。
    この広い屋敷にはご主人様と、巻き角を生やした従者。あとは顔のない黒子の下僕たちだけ。人間は、世一ひとりだけ。
    だから(価値観のズレた世界()で、世一は独りぼっちで生きるしかないのだ。
    同じ日の繰り返し。(世一がイイコで居る限り()いつまでも続くだろう微睡の平穏。
    ──そうだ。だから今日も今日とて(長いロングスカートに身を包む世一は()、自分のスカートをツンと引っ張り甘えたな仕草を見せる(子供(カイザー)の為に、腰をぺたりと床に下ろし(ゆっくりと顔を近づけていく()のである。
    だって、何を望まれているのかなんて。わかりきっているのだから。
    「ッ、ふ……♡ ぅむっん」
    目を閉じれば唇にやわらかな感触がして。
    自分とは違う香りの吐息と、ふにりと甘やかで艶々とした小さな唇がぴとりと重ね合わされる感覚。
    それを感じながら世一が子供の身体を膝の上へと招いていけば、幼い舌は慣れた動きで唇の隙間を割り潜り込んでくる。
    ───傍目から見れば、メイド服を着た男が小さな子供の唇を奪っている倒錯的な光景。
    なのに実情は、主導権は全てカイザーの方にあるのだから。あァ、なけなしの倫理観が暴れ狂って、頭がおかしくなりそうだ。
    「は、ぅ♡ ン……♡ッ」
    ──世一のよりも厚みのある魔族の舌。
    それは小さい子供サイズの筈なのに、太くて、長くて、ぬるぬるしてる。
    そうしてその甘みのある唾液をふんだんに纏わりつかせた舌は、世一の舌に(ぐるりと巻き付きながら()、舌の付け根をこすこすとなぞってくるのだから。咥内を満たす刺激に、つい声が洩れるのだって。もうすっかり〝いつも〟となってしまった。
    「んふッ♡! ッ、ふぁッ♡」
    唾液が甘い。舌がきもちい。口のナカが、ぞわぞわぞくぞくする。
    だからそれについ、逃げるように頭を後ろへと動かせば。すかさず小さな手は世一の両耳を抑え、そのままぐっと顔の位置を固定してくるから、もう逆らえない。
    「ふあ……♡ あ、あふ♡ ぅ……♡」
    ぢゅるッ♡ ぢゅぱッ♡ と頭に響く音が、なんともいやらしい。
    そう、世一はこれが(いやらしいコト)と知っていて。その所為で、自分が酷く穢らわしいコトをしている気分に陥ってしまうのだ。
    まァ最も、こんなにも背徳感溢れる行為を強要しているのは、他でもないこの子供の方なのだけど。
    「はふ、ッ! んは、ッあぇ……♡!」
    すると世一の舌の付け根を丹念に愛部していたカイザーの舌が、喉奥の扁桃にぴたりと舌を押し当てたかと思えば。そのままずりゅんと舌を滑らせ、今度はゆっくり喉頭を犯して始めていく。
    「……ッッ♡! ッ♡ ッ♡ ♡♡」
    これに、世一はすっかり弱くなってしまっていた。
    最初の頃はあれだけ嘔吐いたのに。なのに気付けば、喉頭を太い舌で擦られるのが堪らなく気持ちよくなってしまっていて。
    ごきゅッ♡ と反射で締まる喉を、内側から無理やり拡げられる感覚に。目の奥が熱くなって、頭がくらくらしだしてしまう。
    「♡♡ んぐッ♡ ふッ♡♡」
    そうして、子供の華奢な体躯といえど、膝の上に座られてしまうと身動きも取れないから。
    いや違う。世一自身がカイザーに縋るように抱き着いている為、そもそも身を捩ることすら出来やしないのだ。
    というか、待って、マジ、ッ───♡!
    「ッ♡! 〜〜〜……ッ♡♡!!」
    ──瞬間、大きく背筋が跳ね上がり、そのまま股間がじわじわ濡れていく。
    びくッびくんッと痙攣する身体に、考えるよりも先に感じる倦怠感。勝手にピクつく動く眉に、上向いたまま中々焦点を定められない眼球。
    それはつまり──世一が舌と喉だけで絶頂してしまったコトを、示していて。
    「…………」
    「……ッふ♡! ♡ ン……ッ♡♡!」
    差し込まれた舌がゆ〜〜っくりと引き抜かれる。
    喉の奥から舌をずりゅりゅと勿体ぶるように抜かれていく感覚。それが、涙が滲むほど気持ち悦すぎて。
    抜かれていく舌の裏側に、媚びるように自らの短い舌を這わせた世一は、真っ赤になった顔で、カイザーの瞳をぼんやりと見詰めていた。見つめるコトしか、もうわからなくなっていたのだ。
    「……世一、きもちよかった?」
    「ぁ、う……ふ♡」
    カイザーが、長い舌を垂らしている。
    その舌先からとろりと唾液が垂れ落ちるのを見た世一は、ちぅ♡ と音を立てながらカイザーの舌先へと吸い付いて。ちゅむちゅむと唇で啄みながら、小さい唇の中に舌を収納するよう促していく。
    「ん、ふぁ♡ はぁ♡」
    「ん、ンー……」
    ──この子供とキスをすると、どうにも頭がぼやけてしまう。
    駄目だって、恥ずかしいって、いかがわしいって、思うのに。なのにこの子に舌を吸われて、喉を犯されると〝もっとほしい〟だなんて感情がどうしてだか滲んでしまうのだ。
    だから今だって、カイザーのすべすべとした指先に耳裏をやわく擽られるだけで、堪らない気持ちになってしまう。
    「はあッ♡ はぁ、ふ……♡」
    腰が重い。じんじんとした熱を孕んでる。
    耳が気持ちいい。舌が、口のナカがきもちいい。全部、ぜんぶ、悦すぎる。
    注がれる甘ったるい刺激に、喉の奥がまたぞくんと痺れる錯覚を覚えて。頭のナカを快楽で満たしている世一は、唾液まみれの唇をゆっくりと離しながら。小首を傾げ自分を見詰めるカイザーに、とろりと蕩けた視線を向けた。
    「……ひもひ、よかっひゃ、れしゅ♡」
    散々しゃぶられ弄ばれた所為で、舌が上手く動かせない。
    でもそれはいつもの事なので。大理石の床に座り込んでる為冷え切ったお尻を、世一は居心地悪そうにむずりと揺らし動かす。
    お尻は冷たいのに、なのにその奥が疼いてるのだ。
    じんじん熱くて、ずくずく疼いて、たまんなくて。もう──なんでもよくなっちゃいそうなくらい、そわついてしまう。
    「ふふ、えらいぞ世一♡ いっぱいきもちよくなれて、世一はいいこだな♡」
    「ンぁ……」
    ──なんでもよくなんか、ないのに。
    だってここは薄氷の上の、仮初の平穏で。自分はこの魔族に捧げられた、ただの供物。
    そうとわかっているのに、いや、(そうとわかっていても()。
    繰り返されるこの(意味のない行為()をされると、世一の頭はいつだってぐしゃぐしゃになる。なって、しまう、から。
    「ンー~~。もっと甘えたい……」
    切なげな表情で囁かれる、甘ったるい声。
    声だけ聴けば、顔だけ見れば。幼い子供ならではのその仕草。
    けれどその瞳は、異様なまでに爛々と輝いているのだから。小さな子供の戯れというには、余りにも(色()が違いすぎる。
    「だから、おへやがいい。おへやいこ?」
    そうしてその、やわこい手に頬を抑えられながら囁かれた誘いに。
    胸で荒い呼吸を繰り返していた世一は、ぴくりと肩を揺らしてしまうのだ。
    だってそれが何を指しているのか。既にその身で、世一は思い知っているんだから。
    「……、お、へや」
    「そう。──世一はイヤ?」
    長い睫毛が、世一の睫毛と擦れ合いながら揺れている。
    至近距離で笑みの形を取る瞳は鋭利な色をしていて。逆光の中に居るというのに(きゅうと締まる瞳孔に、あァ魔族なのだと、ここに来てからもう何度も痛感した事を、また性懲りもなく抱いたりなんか、して。
    「…………いや、じゃ、ないです」
    「よき♡ 世一はいいこだな」
    「んッ」
    震える声ごと呑み込むように、また音を立てて唇を吸われる。
    自分よりも遥かに幼い体躯の子供。(出会った頃から何も変わらない姿()のご主人様。
    倫理も、常識も、なにもかもがあまりにも違う。違いすぎる相手。
    けれどそれを指摘する術も、権利だって世一は持っていないから。
    だから結局手を引かれるまま、連れ込まれるしかない。

    いつだってそうだ。
    ここに、世一の自由はひとつだってない。

    ✦✦✦

    広々とした、絢爛豪華な調度品に囲まれた部屋の中。
    ソファーに腰かけるカイザーの前に佇む世一は、居心地悪そうにもじもじと身を捩り落ち着きなく身体を揺らしていた。
    「ン~~。どぉれぇにぃ、しーよーうーかー~なぁ?」
    機嫌の良さそうな声。けれどそれに、ふッふッと浅い呼吸を繰り返す世一はただ無言で肌を紅潮させるばかり。
    対して、鼻歌混じりにそう囁くカイザーのすぐ横には、一目で質がいいとわかる宝石箱が置いてある。
    艶やかな黒に、金と青の装飾の施された美しい箱。
    けれどそこに、宝石は一つだって入ってはいないのだ。
    「……きめらんなーい! なぁよいちぃ、世一はどれがいい? おれはやさしいからな! 世一のすきなのでいいぞ♡」
    「……ッ!」
    ──そう、中にあるのは、不可思議な形の陶器のチップ。
    どれも陶器の形状が違うそれは、けれど基本的な構造は同じで。二つ一組の表面がつるりとしたチップは、その間を細くもしっかりとした糸で繋いでいる。
    そうしてその二つ一組の一方の先では、何かを引っ掛ける為なのか。Jの形をしたフックのようなワイヤーが片側にだけ伸びていた。
    その、アクセサリーというにはあまりにも歪な形状。それを箱ごと世一に見せ付けるカイザーは、愛らしい微笑みのまま瞳をゆるりと細めていくのだ。
    「さぁ世一、どれがいい? こっちのぐねぐねしてるやつ? それともこっちのねじれてるほう? それとも──この、粒つきか?」
    「ぁ……! いや、それは、」
    ──それは、嫌だ。
    そう言いたかった言葉は、けれど下からキロリとした瞳に見詰められた瞬間、喉の奥につっかえてしまった。
    はくはくと、ただ唇だけが憐れに動くだけ。そんな、途端に酸欠の金魚のようになった世一に、けれどカイザーは機嫌を損ねることなく。その小さくほっそりとした指先でチップを摘まんだかと思えば、陶器の表面に沢山の凹凸が生えたソレを、世一に見せつけるようにプラプラと振り揺らし始めるのだ。
    「……これがいい?」
    カイザーの瞳孔が、きゅるりと細まる。
    そうしてその愉悦を滲ませた瞳は〝これがいいと言え〟と物語っていて。そうと、わかってしまって。
    だから、だから世一は、じわじわと額まで顔を赤くして。下から覗き込まれているのだから俯いたって意味ないのに、それでも俯きながら言葉を絞り出したのだ。
    だってもう、選択肢なんて、あってないようなものなのだから。
    「……、…………はぃ」
    「そうか(♡(!) じゃあ、これにしような♡」
    言うや否や、カイザーは小さな咥内にそのチップをあむりと含みだす。
    もごもごと動く唇の中でちゅぱちゅぱ音が聴こえて。それが、どうしてだか。酷く、いやらしいと感じてしまって。
    「ひょら、よいひ」
    「ぁ、う……、はい……」
    瞳で、早くしろと視線で促されている。
    だから浅い呼吸のままスカートの裾をぎゅうと握った世一は、そのまま抵抗感の滲む仕草で己の下半身をソファーに座るカイザーにお披露目するのだ。

    「…………あは♡」

    ──そこは、頼りないレースに飾られていた。
    クロッチ部分がパックリ割れた、シースルーのオープンショ―ツ。
    下着の務めなんて端から果たす気のないソレは、世一のペニスも、睾丸も、蟻の戸渡りから縦に割れた肛門だって。黒のレースで綾なすばかりで隠しもしない。
    そうして重力に負けて垂れている筈の世一のペニスは、けれど先程の舌戯で達した所為か、それともこれから施される(悪戯()への(期待()からなのか。既にゆるゆると頭を持ち上げ、先端から涎をだらしなく垂らしていたのだ。
    「よいひったら──欲しがりさんめ♡」
    そんな情けない世一の先走りに唇を吊り上げたカイザーは、徐に口に指を突っ込み。
    そのままちゅぷりと音を立て、口のナカから粘ついた唾液(塗(まみ)れのチップを引き抜いたかと思えば、躊躇いなく世一のペニスをはむりと咥え始めた。
    「ッ、ひ♡!」
    魔族の、蜜のような唾液。それはまるでローションのように世一のペニスに絡み付き、あっという間に芯を固くさせていく。
    気持ちいい。たまらない。そんな心地のまま、スカートの裾をぎゅうと握り込んだ世一は、熱い粘膜のぬるついた感触に堪らずに背筋をぶるりと震わせて。はふりと息を乱しながら、けれど耐えるように背をまるめて唇を噤むのだ。
    「は、ぁ、ゔぅ……ッ♡!」
    「んむ、ふ……ふふっ♡」
    だって、間違っても腰をヘコつかせてはいけない。
    世一の本能は〝腰を触れ〟と叫んでいるけれど。でも、世一はペットで、この子供は世一の飼い主であり持ち主なのだ。
    所有者に対し粗相はしてはならない。自分の肩には、この街の全ての人間の命がかかっている。そうわかっているから、ただ快楽を受け入れるコトしか赦されなくて。
    「……はァ♡ 今日も、イイコに頑張るんだぞ?」
    ちゅぱ、と音を立てながらぺニスを解放したカイザーは、そう言って甘く微笑んだ。まさしく悪魔の微笑みだ。
    けれどそれに、やはり世一は愛想笑いしか返せないから。赤い顔で頬を引き攣らせたまま、これから始まる責め苦にゴクリと情けなく息を呑むことしか出来ない。

    「──ぁ、あ……ッ!」

    つぷりと、くぱくぱ口を開く鈴口に、凹凸を生やした細長いチップが埋め込まれていく。
    プロステートチップと言うチップこれは、あっさりと世一の尿道の中へと潜り込んでいき、ぬぷぷぷぷと音を立て更に奥へと吸い込まれていく。
    つまりは、カイザーの魔力で操作されているのだ。だから動力なんてない筈なのに、まるで意思を持った生き物のような動きで尿道の管を刺激しながら前立腺まで一直線に突き進んでいくのである。
    「ッ、はぁっ♡ あ♡ ッ♡ あァッ……♡♡!」
    「ふふ、するする挿入る。前はあんなに痛がってたのに……すっかり孔、おおきくなっちゃったな♡」
    舌足らずかと思いきや、所々で流暢な響きになる不思議な口調。
    それはこの子供の見た目をした魔族が、出逢った頃から成長をしない事と何か関りがあるんだろうか、なんて。ガクガクと震える腰をなんとか抑えつけようと躍起になっている世一は、現実逃避のようにぼんやりと思うのだ。
    「ふ♡ ふぁッ♡ あッ♡ ……ッ~~~♡! ッッ♡♡!!」
    チップが前立腺の位置にぐりゅんッとハマって、声もなく甘イキをしてしまう。
    唇から溢れる吐息は熱くて、乱れていて。ふ~~ッ♡ ふ~~ッ♡ と揺れながら、世一の(頭(理性)まで一緒に蕩け始めるような錯覚に、溺れそうになる。
    「ん〜〜? ちゃんと挿入ったか?」
    「……♡ッ♡♡! ふ♡ はぁッ♡ ……ッ♡! は♡ はい、り♡ まひッ♡ たッ♡♡」
    「ほんとうに?」
    そう囁くカイザーは、ペニスの先端に引っかかるJ字型のフックを爪先で軽く小突いた。


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