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    流菜🍇🐥

    @runayuzunigou

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    TF主ルチ。ルチにほっぺをもにもにされて遊ばれるTF主くんの話。

    ##TF主ルチ

    表情 洗い物を済ませると、リビングのソファに腰を下ろした。防水素材で作られた座面が、僕の重みによって沈み込む。特に目的はないけれど、ゴールデンタイムのバラエティにチャンネルを合わせてみた。今夜はお笑い番組が放送されているようで、芸人の賑やかな声が響いている。
     ぼんやりとテレビを見ていると、ルチアーノが近づいてきた。ソファに座る僕に視線を向けると、何かを考えるように動きを止める。隣に座るのかと思っていたら、僕の目の前に歩み寄ってきた。
     そのまま、ルチアーノは僕の膝の上に腰を下ろす。見た目より軽い体重が、僕の膝へと伝わった。向かい合うような体勢のまま、僕たちは至近距離で見つめ合う。彼の意図が掴めなくて、少し恥ずかしくなってしまった。
    「どうしたの?」
     困惑しながら尋ねると、彼は不満そうに眉を上げた。僅かに瞳を曇らせると、不機嫌の滲んだ声で言う。
    「理由が無いと、膝に乗っちゃいけないのかよ」
    「そんなことないけど……」
     返事をしようとして、言葉が続かなくなってしまった。彼がここまで積極的になることは、一緒に過ごした中でもあまりなかったのだ。どう答えたらいいのか分からないし、見つめられることに恥ずかしさを感じてしまう。
     僕が戸惑っていると、ルチアーノが手を伸ばしてきた。頬に両手を添えると、手のひらで何度か撫で回す。
     不可思議な行動に、少し恐ろしさを感じてしまった。彼が僕に甘えるときは、大抵が無言の要求なのである。真意を汲み取ることができないと、機嫌を損ねてしまうかもしれない。
    「どうしたの……?」
    「別に、なんでもないよ」
     質問を重ねても、返ってくるのは気のない返事だけだ。その間にもルチアーノの指先は頬の肉を摘まみ、もにもにと上下に動かしている。間抜け面が面白いのか、くすくすと笑い声まで上げていた。それは段々エスカレートして、笑顔を作るように持ち上げられたかと思うと、今度はブルドックのように下へと下げられる。無意識に力が入っているのか、頬は痛みを訴えてきた。
    「ふひはーほ、いはいほ」
     抵抗の言葉も、引っ張られた頬によって不明瞭になってしまう。そんな僕をからかうように、ルチアーノはきひひと笑い声を上げた。にやにやした笑みを浮かべながら、からかうような声色で言う。
    「何言ってるか分かんないぜ。もっとはっきり言えよ」
    「ほんはほ、ふひはほ」
     無理難題を投げ掛けられ、僕は必死に反論した。どれだけ言葉を紡いでも、それはふはふはという呻きにしかならない。僕の滑稽な姿が面白くて仕方ないのか、ルチアーノはさらにケラケラと笑った。
     仕方なく痛みに耐えていると、不意にルチアーノが笑みを引っ込めた。正面から僕の顔を見ると、頬をつまんでいた手を離す。
    「君って、あんまり派手に笑わないよな」
    「そうかな……?」
     突然の言葉に、僕は疑問符を浮かべてしまった。そんなこと、これまでに一度も言われたことがなかったのだ。クールぶってるつもりもなければ、それなりに感情を表しているつもりである。全く心当たりはなかった。
    「君は、人間の中では表情が乏しいよ。笑ってても口角が上がるくらいだし、怒ってても怖くないからな」
    「怒ってる時くらいは、威厳があってほしいんだけどな」
     ルチアーノの軽口に、少し本気の混ざった軽口で答える。怒ってても怖くないだなんて、舐められているみたいで嫌だったのだ。せっかくなら、威厳のある大人だと思われたい。
    「まあ、その方が君らしくていいんじゃないか? 君はお人好しなんだから」
     フォローにならないようなことを言って、ルチアーノはきひひと笑った。その表情の変化を見て、少し納得してしまう。確かに、彼の表情の豊かさに比べたら、僕は乏しい方かもしれない。単純に、ルチアーノの感情表現が豊かすぎるのだ。
     しばらく僕の顔を見ると、彼は何かを思い付いたような顔をした。小さく手を叩くと、そのまま僕の顔へと伸ばしてくる。
    「そうか、目が隠れてるからか」
     彼の指先は、僕の長い前髪に触れた。真ん中でぱっくりと分けると、左右の耳の上に避けていく。目元を覆うカーテンが剥がされて、一気に視界がクリアになった。透き通る視界の真ん前に、ルチアーノの綺麗な顔が見える。
    「やっぱり、これが原因だな。目が隠れてるから、表情が乏しく見えるんだ」
     僕の瞳を覗き込みながら、ルチアーノはにやりと目付きを歪めた。煌めく宝石のような瞳を見ていたら、少し恥ずかしくなってしまう。いつもは、髪の毛越しにこの世界を見ていたのだ。真正面から見つめられるなんて、心の準備ができていない。
     そんな僕の気持ちなど、ルチアーノにはお見通しのようだった。斜めに視線を逸らそうとすると、両手で顔を固定されたのだ。無理矢理僕の顔を動かすと、自分の正面に持ってくる。逃げ場を失って、僕は何度も視線を彷徨わせた。
    「何、逃げようとしてるんだよ」
     からかいの滲んだ声色で、ルチアーノは言葉を吐く。面白い玩具を見つけたとでも言いたげな、陽気に弾んだ声色だった。やっぱり、ルチアーノは感情が豊かだ。そんな場合じゃないというのに、頭の隅で思ってしまった。
    「だって、恥ずかしいから……」
     僕が答えると、彼はケラケラと笑い声を上げる。逃がす気はないとでも言いたげに、僕の弱点を付いてきた。
    「なんで恥ずかしがるんだよ。いつもは、じろじろ見てくる癖にさ」
    「それはそうだけど、今は恥ずかしいんだよ。いつもは、こんなにはっきり見えてないから」
     痛いところを突かれるから、答える言葉はしどろもどろになってしまう。そんな僕の態度が、余計にルチアーノを高ぶらせるようだった。僕の顔を固定したまま、自分の顔を近づけてくる。
    「じゃあ、もっとよく見ろよ。君は、僕のことが好きなんだろ」
     ルチアーノの綺麗な顔が、僕の目の前に近づけられた。緑の瞳は宝石のように輝いていて、人工の肌はあり得ないほどに白く澄んでいる。瞳は嗜虐的に歪められて、口元はにやりと笑みを浮かべていた。デュエルの最中を思い出してしまって、身体がじわじわと熱を持つ。
     まずいと思った時には、もう手後れだった。下半身に熱が集まって、ドクドクと弱い脈動を始める。それは下着の中で膨らんで、妙な気持ち悪さを伝えてきた。不快感に耐えきれなくて、こっそりと身じろぎをする。
     そんな僕の行動も、ルチアーノにはお見通しのようだった。ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべると、片手を僕の下半身へと伸ばしていく。そこの膨らみに触れると、楽しそうに笑い声を上げた。
    「ひひっ。興奮してるんだ。変態」
    「言わないでよ……。ルチアーノのせいなんだから」
     抗議の声を上げながら、僕はルチアーノの手をはねのける。このまま触れられていたら、本当に我慢ができなくなりそうだった。
    「君は、顔よりもこっちの方が分かりやすいよな。いかがわしいことばかり考えてるんだろ」
     にやにやと笑いながら、ルチアーノは僕をからかう。悔しいけど、僕には何一つ反論ができなかった。
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