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    aya.t

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    aya.t

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    こっそりツィッターにあげてたの。やっぱり残しておこうと。人様の呟きに反応して打ち返した話。ドライブネタ

    #秘密
    secrets
    #青薪
    AoMaki
    #薪剛
    Maki Tsuyoshi
    #青木一行
    Aoki Ikkou

    定位置急に春めいてきた。
    いつのまにかコート無しでも出歩けるようになっていて、気付けば木蓮やら小手毬やら菜の花やら‥。
    目に入る色が増えてきた。
    河津桜は満開で、染井吉野も蕾が見受けられる今日この頃。季節は巡る。

    「車走らせて 少し遠出しましょうか?」

    久しぶりの休日。
    暖かい室内でゴロゴロしている冬も楽しかったが、「あったかくなってくると外で手足を伸ばして光合成したくなりませんか?」 とわけの分からない事を言う青木が散歩に出たくてウズウズしている大型犬に見えてきて つい、
    「よかろう。」と、頷いた。

    「じゃ、俺 車 駐車場から出して来ますから!薪さん エントランス前のいつもの所で!」

    鍵を引っ掴んで あっという間に玄関を出ていく青木。
    尻尾 振りちぎれるんじゃないか? そんな慌てなくても。
    ‥全く。
    一緒に出て駐車場まで行ってもいいのに‥と思いながら、僕も手早く支度してエントランスに向かう。

    エントランスを出ると タイミングよく車寄せに青木の運転する車が入ってきた。
    ドアを開けて乗り込む。
    青木の顔が何か言いたげだったが、丁度後ろから別の車が入ってきた。邪魔にはならないが 僕らが発車した方が後続車の乗り降りは楽だろう。そのまま 発進させる。

    少し走らせて車は海沿いへ。

    「上 開けましょうか?」
    「そうだな。」
    スライディングルーフを開けるのも久しぶりだ。気持ちいい。
    知らず知らず口元が緩む。
    青木がチラっとこちらを見ながら
    「良かった‥。部屋の中で薪さんと2人っきりでゆっくりするのも捨てがたいですけど、外の空気吸ってお日様浴びるのも気持ちいいですよね。」
    「そうだな。」
    「もう少ししたら ちょっと休憩入れましょうね。薪さん。喉渇きません?」
    「僕は大丈夫だ。おまえ お腹減ったんだろう?いいぞ。休憩がてら早めの昼食でもおやつでも‥。」
    「ふふっ‥」

    嬉しそうに笑う青木。
    全く お前は‥。
    僕の顔ばっかり見てないで、ちゃんと前を見て運転しろ。

    ‥ん?‥あれ‥?

    何故 僕は青木の顔をバックミラー越しに見ているんだ?横顔ではなく。
    何故 2人きりの車内で 前後で会話しているんだ⁈僕らは‥。

    知らず眉根が寄る。

    常にチラチラと僕の顔をバックミラーミラー越しに見ている青木は 当然 気付く。

    「薪さん?」

    ‥しまった。
    つい、習慣で後部シートに乗ってしまった。いつも公用車が迎えに来た時に乗り降りする場所だったし‥。

    おまえ 言えよ‥。
    ‥‥あぁ そうか。何か言いたげだったのって。

    スライディングルーフを開けて春色の海沿いの道をドライブする2人きりの車内。 ‥で、前後で会話する2人‥。

    「薪さん? どうしました? もしかしておトイレ行きたいとか⁈ わぁ。すぐにどっか探しますから!」

    バコっ!
    「違う!」
    「痛っ‥(泣)。もう‥。すぐ殴るんだから‥」

    「違う!トイレじゃない‼︎ だけど どっか 停まってくれ‥‥いそがなくていいから‥。」

    バックミラー越し。僕の言葉に微笑む青木。

    (一応)プライベートのドライブデートだと言うのに 後ろにさっさと乗って前後で会話する12も年上のオッサン上司を 嬉しそうにバックミラーでチラチラ見ながら 車を走らせる僕の恋人。
    春色の海沿いの道。海面がキラキラと光っている。

    くすっ。
    僕の口元が緩む。
    バックミラーの中の青木の目が眩しい。

    雰囲気の良さそうな店を見つけて駐車場に車を停める。まだ、昼食には早い時間だったので、すんなり店内に入れた。
    早めの昼食を食べて出る頃には 駐車場は満車。ウェイティングリストに名前を書いて待っている人達。
    駐車場からも早く車出してあげた方が良さそうだ。

    ガチャっとオートロックが解除されて 運転席に乗り込む青木。
    僕も当然のように 何も無かったかのように 助手席に乗り込む。
    青木が横を向いて嬉しそうに笑った。

    「‥言えば良かったのに‥」
    「だって 薪さん。 ‥それに横じゃなくて前後でも 充分楽しかったし。」

    バックミラー越しじゃなく直接見る青木の横顔。

    「うん。」

    今の車は、真ん中にシフトレバーは無くて。
    でも、大きめのタッチパネルを操作しようとした青木の右手にそっと手を重ねる。
    「僕がやろう。」

    久しぶりのプライベートドライブ。
    春の空気はどこか優しい。
    今日はパネル操作もBluetoothの選曲も僕がやってやろう。
    ペットボトルの蓋も開けて渡してあげよう。

    Spring has come

    大好きだよ。僕の青木。
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    aya.t

    MOURNINGこっそりシリーズ 
    とっても大好きな沼の民様(いつも大変お世話になっております🙇‍♀️)。お話しさせていただいているうちに妄想が暴走して つい。つい‥。
    気付けばタジク3つめ😅
    一部 別のやはり大好きな沼住民様の呟きを借用させていただいております🙏
    タグは青薪。 ‥間違ってないと思う‥けど‥全方面からのブーイングが‥🙇‍♀️
    「やだ‥ もう許して‥」
    ─駄目だ。涙が‥。

    タジクがニヤリと笑って僕の目尻を拭う。

    「この綺麗な涙はね。あの 貴方のことが大好きで宝物のように扱う坊やには効くのかもしれませんが、俺にとっては燃料にしかなりません。もっと泣かせてみたくなる‥。あなたの 理性が失われた先のあなたの姿を‥見たい」

    ──落ちていく。
        あおき アオキ‥
          


    あの時は こんな事になるとは思わなかった。 

    目の前の誘惑。
    ‥好みだったんだ。そう はっきり言って 何もかもが僕の好きなタイプだったんだ。
    ちょっとした気の緩み。
    行き詰まっていた捜査で煮詰まっていたのもある。全区あげての捜査。僕だけでなく全ての捜査員が休む間もなく。 ‥青木とは逢瀬どころかプライベートの会話すら ずっと出来ていなかった。
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