箱 丹恒がいなくなった。
そう連絡を受けて、刃は羅浮の神策府にある地下倉庫を訪ねていた。見張りをかいくぐり、倉庫の前まで来ると、青ざめた穹となのかが駆け寄ってくる。
「どういうことだ」
「俺たちにもわからない。将軍からの頼まれごとをしてたんだけど、気付いたら三時間も姿が見えないんだ」
「危ない依頼じゃなかったんだよ。倉庫にあるはずの奇物が必要だから、皆で探してきてくれないかって」
なのかは今にも泣きそうな顔だった。一時間後にここに集合することを約束して、三人は別々の倉庫で手分けして奇物を探していた。丁度一時間程で穹が目当ての奇物を見つけ、集合場所で待っていたがいつまで経っても丹恒が帰ってこない。丹恒が時間を守らないことは珍しく、心配になって彼が入ったはずの倉庫へ呼びに行ったが誰もいない。もしかしてすれ違ってしまったのでは、と、神策府に戻ったが、丹恒は帰ってきていないとのことだった。
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