inizio 気づけば、政府の施設を抜け出していた。
けれど、衝動的だったかと問われると首を傾げる。政府に対する不満は、ずっと昔からあった。前々から、私の暮らす政府施設のセキュリティについても調べていた。
けれど、計画済みだったのか、と言われても首を傾げる。実際、私はほぼ丸腰で外に出ていた。いっそ、不用心すぎるほどに。
己に問いかけながら、夜の街を駆けていく。表通りは避けて、治安の悪い裏通りへ。スラム街に足を踏み入れれば、いやに懐かしさを感じた。結局、ここは私たちの居た頃から何も変わっていないのだ。下手に絡まれないよう足早に駆け抜けていく。
そうして、たどり着いたのはとあるマフィアの本拠地だと思われる屋敷だった。広大なそこには、思っていたよりもずっと楽に忍び込むことができて、首を傾げる。ここは本当に、あのマフィアの本拠地なのだろうか。
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