テッドが家のドアを開けると、ほのかに甘い香りと、うっすら何か焦げたような匂いが鼻先をくすぐった。
同時にキッチンの方からガラガラと大きな音がして、慌ててそちらへ駆け寄る。
どうしたの、と声をかける前に、まとめた前髪をぴょんと跳ねさせたウェドが振り向いて困ったように笑った。
「ああ…おかえり、テッド」
「た、ただいま…それ大丈夫⁉︎」
ウェドの目の前、シンクの中で食器が雪崩を起こしている。
「いや、何から片付けたものかと思ったら見る見る間に崩れてしまって…でも、ほら、見てくれ!」
ウェドが目線で促したテーブルの上には、三段重ねのパンケーキが置いてあった。少々不恰好だが、美味しそうなクリームがたっぷりとかけられて、てっぺんに歪ながらも星の形にカットされたフルーツがのっている。
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