両思い「ねぇサニー」
「どうしたの?アルバーン」
「…僕、好きな人出来たって言ったらどうする?」
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アルバーンに好きな人が出来たと言われた日、珍しく気まずくなってしまい、それ以降話すことなく帰った。家に帰ってからもその事しか考えられず、夜も寝られなかった。俺はどうするべきなんだ?諦めて応援するか?…いや、何処の馬の骨かもわからねぇような奴にアルバーンを任せは訳には行かない。やっぱり気持ちを伝えるしかない。もうどうなっても構わない。よし、と気合を入れて眠りについた。
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サニーに好きな人が出来たと嘘をついた日、そのこと以外考えられなくなった。やっぱり言うべきじゃなかった。サニーが離れて行ってしまったらどうしよう。でも今から取り消すなんて出来ないよね…いや、ちゃんと言おう、本当に好きな人はサニーだって。その後は何回も何回も台詞を考えた。サニーはどう思うんだろう、なんて言われるかな、なんてことを考えていたらいつの間にか眠っていた。
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朝ももちろん2人一緒に登校する。
「おはよ」
「!お、おはよ!」
サニーがいつものように挨拶をしてきてアルバーンは少し驚いたが、ほっとした。だが緊張と気まずさ故に会話は弾まなかった。
「「あのっ!」」
沈黙が続いた後、2人同時に声を出した。
「あ、先にいいよ、何?」
「いや僕こそ…」
互いに譲り合いまた静かになってしまった。
「あの、その…昨日言ってた好きな人のことなんだけど…」
「お、俺もその話しようと思ってた、!」
「え、どんな話?」
「その…ごめん、俺アルバーンの恋応援できない」
「…えっ、なんで、?」
アルバーンは一瞬、自分とサニーの恋の話かと思い戸惑ったが、すぐ違うことに気づき嬉しかった。
「俺…俺、アルバーンのこと、好きなんだ」
「っ、僕も好きだよ、」
「ただの友達としてじゃない、アルバーンのこと誰にも渡したくないんだ」
「サニー…ッッ」
「あうばーん?!」
欲しかった言葉を、想いを受け取ったアルバーンは感極まって涙を零した。断られる不安よりもアルバーンに対する心配が強いサニーはアルバーンの背中をずっと摩っている。
「ぼッ僕ね、好きな人が出来たって、嘘なの…ッ」
「…え?」
「なんでこんなことしちゃったんだろうって、思ったんだけど、サニーに止めて欲しかったって言うか…」
「それって、」
「うん、僕もサニーのこと好き」
また泣き出してしまったアルバーンにつられたのか、恋が実ったことが嬉しかったのか、サニーも共に泣いた。お互い自分も泣いている中、大丈夫?泣かないで、と相手を心配しながらしばらく時間が経った。
「こんな顔じゃ学校行けないね」
涙を流した目は赤く腫れ、言わずとも涙を流したことがわかるようだった。
「ねぇじゃあさ、今日はデートしない?」
無邪気な顔で突拍子もないことを言う。サニーは少し考え、
「そうしよっか」
その日は初めて想いが伝わった日、初めて学校をサボった日として2人の中に残るのであった。