オレはお前のこと嫌い お恥ずかしいことに、これにて片思い歴が二桁と相成りました。
沈んでいく太陽が水平線に足をつけて、立つ波に小刻みに断ち切られながらもオレンジ色の光で海に道を作っている。空には雲も風も少なく、海は穏やかなさざ波を鳴らす。そんな景色を、ビーチの砂を裸足で踏みしめながら静かに眺めているのは仲睦まじいカップルではなく、腐れ縁の男二人ぼっちだ。加えて言うのであればそのうちの片方はオレで、もう片方は先程自白したあれそれの相手である。
そんないかにもなシチュエーションに何の変哲もない成人男性二人で居合わせてしまった。ビジュアル的に華やかさの欠片もないであろう場面に胃もたれのような心地に陥っているオレの片思い歴は、もちろん月の数えではなく単位は年である。間違いなく誇れることではない。もっと言うなら片思いという甘酸っぱい表現に収めていいのかもわからない。酸いも甘いよりも負けん気や妬ましさが勝る自覚はあるのだが、それらを全部ひっくるめて長いこと一人相撲をしているのだから分類としては同じだろう。
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