例え運命で無かろうと「どうせお前だってオレを捨ててどっか行っちまうんだ」
毛布もクッションもめちゃくちゃになったソファーに蹲る彼はそう呟いた。
「お前なんてホントは運命の番じゃないんだよ、だからぽっと出のオンナに惚れてオレを捨ててどっかに消えるんだ。」
床には酒の空き缶とカプセル剤の包装シートが転がっている。恐らく抑制剤を酒で流し込んだのだろう。身体に良くないからと何度も言って聞かせてはいるが、一向に治る気がしない悪癖だ。
「そもそも運命って何なんだよ?、気色悪ぃ、誰が決めてんだよ。オレ以外の誰が決めてんだ?あぁ?」
誰かに啖呵を切るように顔を上げた彼の顔は、酩酊のせいか、はたまた発情のせいか赤らんでいて、瞳も熱を孕み潤んでいた。
1773