トリエルのとくべつその日サンズはトリエル宅に昼食を食べにお邪魔していた。サンズは、向かいに座るフリスクの、ハンバーグプレートの付け合わせのにんじんが、細く柔らかくされていることに目敏く気がついた。オイラのは固くてごろりとしている、とひとりごちる。隣のパピルスもサンズと同じだ。パピルスと同じであることに少しほっとしつつもフリスクだけ何故?という小さな不満も湧いてくる。トリエルはあらかたキッチンの片付けを終えたようで、サンズとパピルスと同じ、ごろりとしたにんじんを添えたハンバーグプレートをフリスクの隣に置いた。ゆっくりと腰掛けると、さて!と皆で「いただきます」を言おうといった風に声を上げた。
「ちょっと、いいか」
サンズは静かに顔の横辺りまで、小さく手を上げる。パピルス、フリスク、そしてトリエルがキョトンとサンズに視線を注ぐ。サンズはんん、とわざとらしく咳払いをした。
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