天城カイトアドベントカレンダー【カレンダー】
・カイト+クリス ・最終回後
「もう十二月か……」
クリスは研究室の壁に掛けられたカレンダーをめくる。写真が紅葉から雪景色に変わったのを見ながら、彼は時の流れの速さをしみじみと感じていた。
カイトは表情を変えず、自分の席でコーヒーを啜る。
「十一月三十日の翌日は十二月一日だろう。別に早くも遅くもない」
「……君らしいな」
クリスは苦笑しながらカイトの方を向く。
彼の知る中で一番気難しい人間はドクター・フェイカーだが、その息子であるカイトも相当難儀な性格をしていた。特にクリスに対しては突っかかるような発言をすることが多く、その場面に居合わせたミハエルをムッとさせることもある。
しかしそんなカイトの言動に、クリスが気分を害したことはなかった。その言葉の裏にあるのが悪意ではなく、彼に対する信頼であることを――クリスは知っているのである。
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