俺のレッスンは厳しいですよ! フルーレは、地下の執事室で新しい衣装のデザインを考えていた。進み具合は、残念ながら芳しいとはいえない。ペンを握ってはいるものの、その手はしばらく止まったままだった。
少し気分転換でもしてこようか。外の空気を吸えば、なにかいいアイディアが浮かぶかもしれない。
そう考えたフルーレがペンを置いたところで、扉を叩く音が響いた。
「はい、どうぞ」
「入るね」
応答を受け、ドアの向こうから返されたのは柔らかな女性の声だ。十人を超えるデビルズパレスの住人の中に、女性はたった一人。訪ねてきたのが大切な主人であることに気づいて、フルーレは目を丸くした。
「あ、主様!? 呼んでくだされば、俺のほうからお伺いしましたのに……!」
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