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    琥珀糖

    @_kohaku73_

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    琥珀糖

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    とある兄妹の再開の話。

    ⚠成長メイちゃん出てきます、あと終わっているところすごく中途半端
    ちょっと前に書いてたのに、放置してたせいでどうやってつなげるのか忘れてしまった…
    なので供養です…

    無題地球人が月を見上げ、どこかしみじみとした気持ちに浸るように。
    私にとって地球はそんな存在だった。青い星、美しく、儚くそしてどこか脆い。
    思い出深い惑星だからこそかもしれない。この広い宇宙上でいつも目を引くのは地球だった。
    戻りたいと思うときはある。姫というのは、長というのはいいことばかりではない。
    だが戻ったところで何があるのだろう。もう私の過ごした街とは違うというのに。
    でもやっぱり思うのだ。何かに耐え切れなくなったときに、ふと。
    いつもはとどまることができた。ただ今日はどうしてもダメだった。
    お兄ちゃんの誕生日だ、と気づく。お父さんとお兄ちゃんと毎年お祝いしていた日。
    ケーキが出てきて御馳走が出てきて、お兄ちゃんもお父さんも楽しそうで、もちろん私も楽しくて。
    そんな思い出に浸っていたからかもしれない。
    一瞬後、私は竹藪にいた。お父さんに拾われた場所。
    二度瞬きして一度頬をつねって、やっと現状を理解する。
    簡単な話で、地球にワープしてしまったのだ。
    あまりにもあの日と変わらない風景に少し驚く。
    ただ違うのは、拾ってくれる人はもういないということだけ。
    なんて思いながら一歩足を踏み出す。ざくざくと土を踏む心地よい音が竹藪に響く。
    意外とすぐに抜けられた。小さなころはもう少し広いと思っていたのに不思議だ。
    さて、地球に来たとてどうしようか。
    全くのノープランで来てしまったため、行く当ても目的地もやりたいこともない。
    「にしても、あんまり変わらないものなんだなぁ…」
    いつも通っていた道。買い物に訪れた商店街。通っていた保育園。
    意外にもあまり変わらない街並みに心が躍る。
    この町の発展としてはよくないと思うけれど、私にとっては喜ばしいことだ。
    思い出に浸りながら一通り町を歩いたのち、私は一つ行きたいところを思いついた。
    「やることないし、小学校でもいこうかな」
    そうと決まればふわりと宙に浮かぶ。竜宮小学校に行ってみたかった。
    お兄ちゃんと、お兄ちゃんの友達と、そして私が通った小学校。
    色々不思議な学校だ。10年生まであるし、修学旅行はうどん屋さんだし、裁判所があるし、門にはレーザーが巡らされているし。
    もしかしたらもうないのかもしれない。でもあってほしいと思いながらあたりを見渡す。
    「あ」
    確かにそこに小学校はあった。あまり変わらないままで。自然と笑みが零れる。
    静かに門の前に着地した。さすがにレーザーは撤去されていた。
    あれ危ないんだよなぁと苦笑しながら中に入る。
    幸いというべきか門は空いていた。
    今は警備体制が緩いのだろうか。にしても開けっ放しはまた極端なと思う。
    そこに帰宅する子供の集団が見えた。
    仲の良さそうに上げる笑い声にどこか懐かしい気持ちに浸る。
    「あの、お姉さん、何か御用時ですか?」
    あまりじっと眺めていたからかもしれない。少し不安げに声をかけられた。
    「あ、ごめんね、ちょっと私ここが懐かし」
    振り返ったとたん言葉が止まってしまった。
    だって私はあったことがあるような気がしたから。
    否違う。見覚えは確かにあった。というより見覚えどころの話ではない。
    青色のオーバーオールに、赤い蝶ネクタイ。
    そしてお世辞にもおしゃれとは言えない青い帽子が何よりそうだ。
    「君…な、名前は…?」
    そう尋ねずにはいられなかった。
    言ってからこれでは唯の怪しい人だと気付く。が、もう遅い。
    だが、その子は少し怪訝な顔をした後答えてくれた。
    「え、、僕は松田名作です…」
    「松田?名作?ほんとに?」
    何度も聞き返してしまう。だってそんな訳…あるはずがないのに。
    「何で僕が嘘つくんですか…」
    心底困ったような表情で見つめ返される。その顔も懐かしく感じる。
    そこにいたのは確かに名作お兄ちゃんだった。
    私に出会う少し前の、まだ少し幼さの残っている、お兄ちゃん。
    「噓でしょ…だって、そんなはずは…」
    そんなはずはない。だって私はこの目で確かに見届けたのだ。
    お兄ちゃんが冷たくなっていく瞬間を。肉体が骨へと変わる瞬間を。
    この世からいなくなってしまった瞬間を。
    信じられない気持ちと、もう一度会えて嬉しいような何とも言えない感慨深い気持ち、そして本当にお兄ちゃんなのか疑わしい気持ち。
    この三つが交差して私の脳内はこんがらがってしまった。
    「お姉さん、大丈夫ですか?」
    「う、うん、大丈夫…ごめんね、じゃあ」
    何だか居たたまれなくなって、咄嗟にその場から逃げ出す。
    どう考えても、あり得ないのに確かにそこにお兄ちゃんがいる。
    その事実をうまく受け入れられなかった。
    …あるいは受け入れたくなかったのかもしれない。
    戸惑うその子の声が遠く聞こえる。




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