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    長月@一次創作

    好きな時に好きなものを好きなだけ描きます。
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    長月@一次創作

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    某所に投稿した掌編小説

    #創作小説
    creativeFiction
    ##その他

    時刻 初めて立ち寄った時計店で、ある腕時計に一目惚れをした。即座に購入すると、店主が謝礼の後に「その時計には、時を刻む機能が付いております」と付け加えた。その時は、随分と洒落た言い方をするものだな、としか思わなかった。
     その日の夜、俺はあることに気が付いた。腕時計の一から十二までの数字、その全てに切れ込みのようなものが付いているのだ。何となく弄っていると、十二と一の間がポロリと零れ落ちた。床に落ちた破片が粉々に砕け散る。……何ということだ。とんだ欠陥品ではないか。怒りに任せて腕時計をゴミ箱に投げ入れると、そのままベッドに潜り込んだ。

     それからだ。俺の世界から一時間が消失してしまったのは。
     最初の数日は信じられなかった。十二時を迎えると、次の瞬間には一時になっているなんて。たまたま同じ時間帯に死んだように寝落ちしてしまっただけだろう、自分自身にそう言い聞かせた。
     とはいえ、一週間も同じ現象が続くと、さすがに気味が悪くなってくる。同僚にそれとなく聞いてみたところ、周囲からは俺がきちんと昼休憩を取っているように見えるらしい。絶句した。何故なら、俺にはその間の記憶も感覚も一切ないのだから。

     恐ろしくなった俺は、慌ててあの時計店に駆け込んだ。事情を説明すると、店主は「最初にご説明しましたよね」と苦笑する。
     曰く、あの腕時計には時間をバラバラに刻む機能が付いている。刻まれた時間は通常通り流れているが、持ち主からはその間の記憶が失われる。上手く活用すれば時短等に役立つ、とのことだ。
     そこまで詳細に説明しなかったではないか、と憤りを覚えたが、説明書を読まなかった俺にも過失はある。とにかく、元の状態に戻りさえすれば何でも良いのだ。時間を戻して欲しいと懇願すると、店主は笑いながら言った。
    「それは無理ですよ。だってお客様、あの腕時計を捨ててしまったのでしょう?」
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     もしも真実があるとするならばここだ。私は扉を押し開けて、そう呟いた。そうだ、それ以外はすべて偽りだ。
     手元の懐中電灯を揺らし、真っ暗な室内に誰もいないことを確認する。深夜の会議室、誰かいるわけもなかった。
     持っていた紙袋を置いて、中のものを引っ張り出す。ジャケットを脱いで、シャツのボタンを外した。着替えを手早く済ませ、イスを引いた。ぎ、と金属の擦れるような音にぎくんと背筋が強ばる。大丈夫。守衛の見回りの時間は把握している。
     二つ折りのミラーを取り出し、長机に置いた。紙袋の底にあったずっしりと重たいポーチを持ち上げ、ファスナーを開けると中身がこぼれ落ちそうになり慌てる。その中からいくつかのメイク道具を、私は綺麗に並べた。下地(これが肝心だそうだ)、ファンデーション(雑誌にのっていたデパコスのやつ)、アイブロウ(違いがよくわからず百均で済ませた)、アイシャドウ(姉がくれた、高級ブランドのもの。紫色でキラキラしていて発色が良い)、口紅(質屋で売ってたシャネルだが、自分に合う色がよく分からなかったせいで自信はない)。
     化粧というのは手間もかかるし金もかかるものだ。私は机 1308