南魔界のハラダさん Jは激怒した。
必ず、かの飽食終日な同僚の根性を叩き直さねばならぬと決意した。
「"難読書物"と"判読可能な書物"の分別作業、全ッ然終わってないじゃないですか!」
Jがハラダという後輩に頼んでおいた事務作業は、三時間経っても遅々として進んでいなかった。当のハラダは、普段は温厚なJが珍しく激昂しているというのに相変わらずの端正な顔の無表情を崩さない。ドライマンゴーをムチャムチャ食べる手も口も止めなかった。
「いえいえ、Jさん。そもそも"難読書物"と"判読可能な書物"の比較が難しいんですよ、コレ。少し考えれば読めるようなのもありますし」
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