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    nanayuraha

    @nanayuraha

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    nanayuraha

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    頂いたお題の3つ目です。精神退行したテメノスさんを世話するクリック君。

    それは存在しない筈の記憶…って、出来たら良かったのですけどねぇ。

    『お世話します!』

    「こひつじくん。」

    はい、貴方の子羊です!どうかされましたか、テメノスさん。
    …え、呼んでみただけ?そうでしたか、好きなだけ呼んでくれて構いませんからね。僕はここにいますから、今日は絶対に貴方の傍を離れません。だから安心してくださいね、テメノスさん。

    「くり…、こひつじくん。」

    何でわざわざ言い直されたのですか?そんな悪戯が成功した子供みたいな顔で笑わないでください、テメノスさん。そんな顔されたら、怒るに怒れないじゃないですか…。
    え、お昼ご飯はあーんって食べさしてくれと?そうじゃなきゃ食べない、と?僕は別に食べてくださるなら構いませんが、後でテメノスさんが…いえ、何でもありません。もうすぐお昼の時間ですし、準備しますね。だからいっぱいご飯食べてくださいね、テメノスさん!

    「…こひつじくん。」

    どうかされましたか、テメノスさん?本を読んであげるって、これって聖火教の教典じゃないですか。僕にこれを読んでくださるのですか?ありがとうございます、僕も丁度確認しようと思っていたところです。
    途中で喉が渇くといけません、飲み物を用意しますね。テメノスさんは何かご希望がおありですか?

    「こひつじくん!」

    駄目ですよ、そんな顔したって駄目です。そんな小鳥の餌位の量で大丈夫な分けないでしょう、もっと食べてください。ほら、せめてあと一口。あーんしてください、あーん。
    …あと一口食べてくれたら、僕の分のプリンもテメノスさんに差し上げますから。ほら、頑張ってください。うん、良く出来ました…って、ああ!?すみません、ついテメノスさんの頭を撫でてしまいました。悪気ないんです、本当ですって。
    これ後で怒られないだろうか、大丈夫だろうか僕…。

    「こひつじ…、くん……。」

    随分眠そうな顔をされてますね、テメノスさん。お疲れの様でしたら、先に休まれても結構ですよ。あ、歯は忘れずに磨かれましたか?
    今日は寒いから一緒に寝てあげるって、別に今日は…。いえ、そうですね。少し肌寒いかもしれません。気遣いありがとうございます、テメノスさん。では、少し待っててくださいね。僕も急いで休む準備をしてしまいますから。
    あ、いえ、その、歯磨きは自分でやりますので大丈夫です。お願いします、勘弁してください…。



    ・・
    ・・・


    「…という経緯があって、テメノスさんと同じベッドで眠ってました。」
    「……。」
    「あの、テメノスさん…?」

    朝。目を開けて一番に視界に入ったのは、子羊くんの安心しきって眠っているいる顔だった。しかも至近距離。
    何故私と子羊くんが一緒のベッドに寝てるのかとか、ベッドに入ってきた時に何も気づけなかったという事へのショックというか、もし夜這いに来たのなら一緒に眠ってないでいっその事襲…何でもありません。即座に眠る子羊くんを叩き起こして審も…ごほん!失礼。どうやら喉を少し痛めている様ですね。後で蜂蜜でも溶かした紅茶でも飲みましょうかね。そうしましょう、それが良い。
    おっと、話が脱線してしまいましたね。何故こんな事になっていたのかと、子羊くんから事情を聞きました。すると何という事でしょう、昨日の私はアグネア君の摩訶不思議の舞で、体はそのままに精神だけ子供になってしまっていたらしいのです。で、面倒を見てくれていた子羊くんに私は甘えまくったと。そして翌日正気に戻った私は、色んな用事を後回しにして私の面倒を見てくれていたであろう子羊くんを容赦なくベッドから叩き落としたと。
    何て事でしょう、何て事をしてしまったのでしょう、私は。恩を仇で返すとは、正にこの事ではないでしょうか。頭が痛くなってきてしまいました、主に自分への呆れで。

    「本当は、テメノスさんがしっかり眠られたら自分のベッドに行くつもりではあったのです!でも気付いたら自分もぐっすり眠ってしまていて…。誓って、誓ってテメノスさんに手は出してません!!本当です、信じてください!!!」
    「…あー、いえ、別に君の事については特に疑ってませんから安心してください。」

    溜め息をついた私を勘違いしたのか、子羊くんが妙な事を弁明しだした。
    いやそんな事をわざわざ言われなくても分かるというか、それを何故真っ先にソレを否定しだしたのか意味が分からない。もし仮に子羊くんが否定したような事態になっていれば、間違いなく余計な事を口走るであろう私の腰は、絶対に無事では済んでいないだろうから。

    「とりあえず、紅茶でも入れましょうかね。」
    「あ、僕が入れてきます!危ないですよ、テメノスさん!」
    「結構です、君は座ってなさい。…というか、危ないって何ですか危ないって。」

    僕がやりますと動く出そうとした子羊くんを、私は即座に座らせた。
    たった1日で世話したがりになった子羊くんに数日間悩まされる羽目になる事を、この時の私はまだ知らない。
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